ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)
作者の末次由紀さんに競技かるたを題材にすることを勧めたのは、編集者の坪田絵美さん。
坪田さんは福井出身で、高校のときにかるた部を立ち上げ、大学2年のときには
全国大会で準優勝を果たした腕前(A級)です。
講談社の入社試験の面接では、かるたマンガを作りたいと答えたとか。
こちら福井では、2009年のマンガ大賞を受賞したことで、地元の新聞やTVのローカル
ニュースに何度も取り上げられたり、知事が坪田さんに礼状を送ったりで、
坪田さんはちょっとした“おらが村の英雄”化しています(笑)
坪田さんの話によると、末次さんは、かるたマンガを描かないかと言われた1週間後には
単語帳を作って百首を暗記し始め、1ヶ月後には畳敷きの部屋を借りて
かるたを取る練習を始めたそうです。
また、近江神宮やかるた大会に通い、貪欲に取材を重ねていったとか。
その真摯さは作品にも表れていますが、マイナーで地味な印象の競技かるたを、
実にダイナミックに描き出しています。
私はそれまで競技かるたを、情緒もへったくれもない世界、何が面白いんだかという目で
見ていましたが、こんなにも奥が深く、肉体的、精神的にハードな頭脳スポーツだったとは。
久々にまっすぐで純粋な青春ものを読んだという気がします。
主人公たちのかるたにかけるひたむきな情熱、チームメイトと結ばれてゆく心の絆に
胸が熱くなります。
それに本当にこの漫画家さんは見せ方がうまい。引き込まれます。
ヒロインの千早がその才能の片鱗を見せつけるシーンなどは、見ていてゾクゾクします。
ところどころにはさまれる、ギャグの小ネタもおかしくて好きです。
巻末のおまけ4コマも楽しい。
末次さんは他の漫画家の作品などをトレースした事件で2年間活動を休止して
いたそうで、マンガ大賞の授賞式にも、「私はまだそんな場に出るべき立場ではない」
として出席を辞退したそうですが、もう十分に罪はすすげたのではないかという
気がします。これだけの力作を世に出すことができたのですから。
この先の展開が楽しみです。
ちはやふる(15) (BE LOVE KC)
この巻では太一に注目☆今まで運に見放され続けてきた太一についに勝利の女神が微笑んだ!?もちろんチームの団結力やどんどん強くなる千早にも目を奪われますが、多くの人が共感できるのは太一のようなタイプだと思います。努力してもダメかもしれない、無駄かもしれない…でも諦めない太一の姿にとても感動です!
ちはやふる(14) (Be・Loveコミックス)
目の前に試合を見ているような緊張と高揚が伝わってきます。思わず「頑張れ千早ちゃん、頑張れみんな!」と手に汗を握ってしまいました(笑)。巻数もはや14巻ですが、未だ全く飽きさせない構成と緩急に富んだ展開には、素晴らしいの一言です!