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2045年問題 2045年問題 (廣済堂新書)

聞いたことのないタームだったので、興味をもった。2045年問題とは、「2045年にコンピュータが全人類の能力を凌駕し、それ以降の未来は予測できなくなる」という、アメリカの人工知能研究者・未来学者のレイ・カーツワイルの説だそうだ。これを技術的特異点という。コンピュータの処理能力が指数関数的に増大していること(収穫加速の法則、ムーアの法則)、マンマシンインタフェースがプリンタ、マウス、ディスプレイといった骨格筋を必要とする装置を介さず、脳波や網膜への直接投影といった脳神経への直接アクセスへ向かっていること、そして人間の知能の特徴である「パターン認識」を行うための新しいチップ開発が欧米で強力に推し進められていることなどが、その根拠になっている。本書では「2001年宇宙の旅」「ターミネーター」「攻殻機動隊」「マトリックス」などに描かれた未来を例に引きながら、コンピュータの進化が人類の未来にどのように干渉していくのかを、わかりやすく解説していく。こう書くと、なんだ、たんなるSFのおとぎ話かと思われるかもしれないが、ところがこれらの物語は、ここ数十年、数学的にシミュレーションされてきた未来学の成果を下敷きに描かれていることがわかる。日本では未来学が流行らないのか、このあたりの事情はまったく知らなかったが、認識をあらたにした。EUではヘンリー・マークラムという研究者をヘッドに新皮質カラム(大脳新皮質の最小単位)をコンピュータでシミュレートする研究をしているそうだ。その予算なんと1000億。マークラムによれば、賢さとはニューロンとシナプスの数。グーグルが2012年6月に発表した「みずからを認識する能力を獲得したコンピュータ」のニューラルネットワークのシナプスの数は10億という。人間は大脳で140億、小脳までいれても1000億。マークラムは2023年にコンピュータが人間に追いつくと言っているそうだが、ほんとうにその日=技術的特異点はそう遠くはないかも、と思わせる話だ。 「いままでのコンピュータはフォンノイマン型といって、計算は速いものの高度なパターン認識をさせるのはかなり困難です。高度なパターン認識ができるニュータイプのコンピュータが生まれ、計算能力に優れたフォンノイマン型とドッキングすれば、産業革命に次ぐ頭脳革命がおこりうると私はおもいます。」p117 パターン認識とは、すなわち、分類をする能力、ということだ。 分類とは、あれとこれは同じ、あれとこれは違う、という具合にオブジェクトをグルーピングする作業である。 しかしこの能力は、例えばネット上の画像から「女性ものの靴」を抽出する、というような単純な分類作業にとどまらない。これはこれである、がわかる、ということは、これはこれでない、がわかることと同じだ。もしコンピュータが「わたし」と「わたしでないもの」を認識できたとき、それは何を意味するか。 幼児は3歳までに自分と他人の境界を識別する、という。つまり、分類をする能力は「自我」を生み、自我は意識を生むのではないだろうか。 ともあれ未来学についての勉強が足りないので、以下、参考文献にあたってみたい。大変、参考になった。 ・カーツワイル 「ポストヒューマン誕生」 ・ジョン・サール 「アメリカの哲学者「心・脳・科学」 ・ジョン・D・バーナム 「宇宙・肉体・悪魔」 ・マーティン・フォード 「トンネルの中の光」 ・フェデリコ・ピストーノ 「ロボットが仕事を奪うがそれはOKだ」 ・エリック・ブラインジョフソン 「機械との競争」 ・メドウズ 「成長の限界」 2045年問題 (廣済堂新書) 関連情報

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2045年、技術的特異点を迎えた世界。地球上のあらゆるものがナノサイズのロボットによって作られていたが、ある日何者かがナノロボットを ...




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