映画「月に囚われた男」(原題:MOON)のサウンドトラック。映画自体、かなりの出来のSFサスペンスだったが、このサントラも良い。随所に作品のメインテーマが使用され、ピアノのソロで寂しいところは寂しく、ドラムが挿入され、盛り上がるところは盛り上がる。聞くシチュエーションを選ばない印象だ。映画そのものが持つ孤独感と、殺風景な月面や月面基地が持つ妙な神秘性をしっかりと表現してくれている。久々に当たりの映画サントラが購入できた。 MOON: Soundtrack 関連情報
本作は面白い。どこが面白いのかと言えば、その「SF直球」とでも言うべき作風である。メイキングで監督も語っている通り、本作は1970年代から80年代にかけてのSF映画へのオマージュになっている。「THX−1138」から「エイリアン」、「ブレラン」「2001年宇宙の旅」まである意味「どこかで観たイメージ」のオンパレードなのだが、きちんと作品としても成立している。とにかく画面にはサム・ロックウェル演じる「サム」しか出てこない(笑)。宇宙空間でたったひとり、3年間も働かなければいけないなんて、通常の精神だったら破壊されてしまうだろう。契約先のルナ・インダストリー社はアメリカと韓国の合弁らしく、唯一地球と繋がるのはその責任者ふたりだけ。何かこのふたりも怪しかったりする。サムもあと3週間で契約が終了。愛する妻と子供のもとへようやく帰れるのだが・・・この先はネタバレになるので本編を観ていただきたいが、唯一の話し相手であるAIのガーティが大きなポイントになる。これを演じるケヴィン・スペイシーも素晴らしい(声だけだが)。途中からは何だかよくわからなくなるのだが、ストーリーが進むにつれて「なるほど!」と思わせる脚本も巧妙だ。トニー・スコットのもとで修業していたD・ジョーンズ監督だから、やはり「ブレラン」と「エイリアン」が第一イメージだったのかな。特典映像は自主映画っぽいノリで、メイキングと会見の模様が収録されている。約1カ月で撮り終えた、というのもビックリだが、この完成度はぜひ一度「体感」して欲しい。ブルーレイだから映像力は文句なし。星は4つです。 月に囚(とら)われた男 [Blu-ray] 関連情報