中川昭一氏と宋文州氏との対談本。内容は社会問題、経済問題、教育問題、歴史問題にわたるが 宋文州氏が民間人だけに特に経済問題について自分の思いを存分に話している感があるが 中川昭一氏は政治家という多方面に利害関係者を持つ立場であるだけに、やや歯切れが悪いようだ。 しかし、歴史問題になると、一転し中川昭一氏の日本は負けないという強い意思が浮かびあがってくる。 中川昭一氏は常に日本を良くするにはどうすれば良いかという姿勢で物を考えているのが良く分かる。 当たり前のことのようだが、現総理と比べその発想は確かに大きくかけ離れていると思う。
なお第2章ではこのように述べている 「死を意識するというのは、まあ、落選を含めてなんですが・・・・。 僕は、自分が五四歳になって、父があと三年で死んだかと、と思うことがあるんです。 父(中川一郎元衆議院委員)の死というものをすごく意識します。」
麻生元総理、安倍元総理も盟友を失いさぞ気落ちしていることかと思いますが、 中川昭一氏に恥ずかしくないよう、再度自民党を真の保守政党として立て直して頂きたいと思うばかりだ。 なお、各章は以下のとおり
第1章 「差」のない社会は良い社会か 第2章 日本に刺激を与える最後の方法 第3章 金融軽視の社会はやがて製造業も落ちる 第4章 埋蔵されている日本の資産 第5章 教育の村にオオカミが来る 第6章 米国と中国、二つのドく入りギョーザ 第7章 日中関係と日本の外交
別にこの方に興味があるわけではなかったが、毎回おもしろい文章を書いていたので日経ビジネスオンラインでこのコラムをよく読んでいた。本になったので買ってまとめて読んでみた。
宋さんは中国出身で、日本に渡って会社を興して、一代で東証一部上場企業に育て上げた(ソフトブレーン)。ぼくはこの会社のことはよく知らないのだが、現在は人の手に渡って、宋さんはもうあまり経営にタッチしていないようだ。潔い。日本のオーナー社長とはちょっと感覚が違うね。
詳しくは本書を読むと(あるいは日経ビジネスのコラムを読むとわかるのだが)よくわかるのだが、彼の基本的なスタンスは、「こだわらない」ということなんじゃないかと思う。自分の会社を人の手に渡した例もそう。ほかにも、日本は製造業にこだわりすぎだという。確かにトヨタはすごい。キャノンもすごいかもしれない。けど、日本のGDPの6割くらいは第三次産業(サービス産業)なのである。この強化を考えないといけないでしょ、と。ごもっとも。宋さんはここまで言い切っていないけど、サービス業って要はすごく属人的な産業であるからして、結局はそれぞれの産業従事者がスキルアップしないといけないってことになる。スキルアップっていうとうさんくさいけどね、つまるとこ手に職つけないとあかんちゅうことだよね。ほんとにそのうちフィリピンとかから労働者がたくさん入ってくる時代になるしさ。
あと、感心したのは、中国では「かわいい子には旅を、、、」っていうのは本当のことで、宋さんの家族もいろいろなところで活躍しているそうな。世界は広い。どうしてぼくらも日本にこだわる必要があるのだろうか。基本的には、日本はとーーーーても居心地がよいところだとは思うが、最近なんだか暗いニュースも多い。そういうとき、何かに「こだわる」ことを少しやめてみると、意外と明るい展望が見えるんじゃないか。
歯に衣着せぬ言い回しがテンポよく読めました。見方が勉強になります。
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