「死」に向き合ったときの女性って本当に強いな、と強く感じました。
どうして自分自身の死と、
ああも平然と、そしてピッと背筋を伸ばしていられるでしょうか?
「死」ってモノと 当然のように向き合うことができるのでしょうか?
私自身に置き換えて考えると、
たぶん取り乱し八つ当たりして泣きじゃくってわめいて・・・。
否定こそできても向き合うなんて、できないと思います。
あの時期に制作された感涙系邦画全般に言えることなのかも
しれませんが、
男が見せる「死の覚悟・決意」とは
異なる「死への覚悟・決意」を見せてくれたと思います。
「向き合う」ための強さとでもいうのでしょうか、
「世界の中心で〜」にしても「いま、会いに〜」でも
そして「四日間〜」でも、
そんな強さについて考えさせられました。
浅倉卓弥さんの「君の名残を」を読み、 とても面白かったのでこの本も購入しました。
本格時代小説ということで、読み始める前には、 平安・鎌倉時代についてほとんど何も知らない 私が楽しめるか、と不安でした。 しかし、実際に読んでみると、物語の中に 違和感の無いように説明が溶け込んでいて、杞憂に終わりました。
五つの短編ですが、それぞれの物語が登場人物、 世代を前後させながらつながっているという構成となっています。 読み進めていくにつれて、以前に登場した生者、亡者の妄執が、 怨霊あるいは、生霊の姿を借りて現れ、以前はうかがい知ることができなかった 登場人物の胸の内を知ることができます。
と、ここまで書いておいていまさらですが、 この物語は史実を柱にしつつ幻想的、現実的な解釈がなされています。 しかし、とてもうまく溶け込んでいるため、読み進めているとどこまでが 実際にあった出来事なのか・・・となりました。
さいごに、本書と一緒に「君の名残を」を読むことによって、 さらに面白くなることは間違いない、ということだけを付け加えておきます。
源平の時代に若者をタイムスリップさせる着想はどこから生まれたのだろう。常識を打ち破る為に必要なことは異界から持ち込む。なるほど、40歳まで際だったエピソードのない北条義時が、資本主義や象徴天皇思想を知る現代の若者だったら・・・後の承久の乱も頷ける。実に良く練り上げられたプロットだ。遠藤盛遠の逸話を巧く取り入れている所も納得であり、義経と弁慶の冷めた友情、義仲と巴の行はもう涙涙。古典文学の最高峰である平家物語を良くぞ此処まで解釈したものだと感服させられました。歴史小説だけどファンタジー、必読の一冊です。
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