ピアース・ブロスナン、グレン・クローズ、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックスなどなど超有名どころがすぐ死ぬ役だったり、首と胴を切り離されたり、ととてもユニーク。オープニングの円盤がいっぱい飛んでいる映像もティム・バートンの世界、といった感じでブラックなのにかわいい、不思議な感覚です。へこんだ気分の時に見るとなんだかすっきりできる一本です。
ある日、何の前触れもなく、火星人の乗る大量の円盤が地球に向っていることがわかる。アメリカ合衆国のデイル大統領(ジャック・ニコルソン)は、各界の関係者との協議の末、友好的に、火星人を地球に迎え入れる決定を下すのだが…。
冒頭、火の付いた牛の大群の疾走(この件に関するエンド・クレジットも笑わせる!)という目の覚めるようなイメージに始まり、何機ものレトロチックな円盤が機体を回転させながら地球を目指すシーンからして(そして、毒々しく安っぽいデザインのタイトル"Mars Attacks!"が被さる)、『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す [Blu-ray]』やエド・ウッド作品といった数々の「50年代空想科学映画」へのノスタルジーが伝わってくる。それから繰り広げられる、目の覚めるような特異なバートンの映画的イメージの連続にはただただ脱帽するしかない。「地球なんか滅べばいいんだ!」というような、ルーカス・ハース演じるネクラ少年が心に抱えている暗い破壊願望を実現してしまったかのような作品だ。『ビートルジュース 20周年記念版 [Blu-ray]』、『バットマン [Blu-ray]』と立て続けにヒットを飛ばしワーナーに多大な貢献していたとはいえ、これだけの個人的趣味の(作家性の強い)大作に製作許可を出したワーナーも大した度胸である。
本作にあるのは、ひたすら破壊と殺戮の一大ショウ。それをバートン流のユーモアたっぷりに描いてはいるのだが、人によっては不謹慎と感じ、受け入れがたいかもしれない。しかし、すべてが破壊されてしまった後、何とも言えないカタルシスが感じられる不思議さはどうだろう。次から次へと、きら星のごとく現れる豪華ハリウッド・スターたちも、嬉々として殺され役に徹しているのだから、悪ふざけここに極まれりという感じだ。
そんな中、愛情をこめて描かれている地球人が、ネクラ少年ルーカス・ハース(バートン少年の分身?)、大統領の反抗的で無気力な娘ナタリー・ポートマン、ヨーデル好きの頭のネジが緩んだおばあちゃんシルヴィア・シドニーだというあたりに、バートンらしいやさしさが表れている。とくに、シルヴィア・シドニーの出演は、映画的事件と言っても決して大げさではないだろう。すでに、バートンの作品では、『ビートル・ジュース』に出演済みだが、映画ファンであれば、86才の彼女が画面に現れる…ただ、それだけで涙せずにはいられないはずだ。
満を持して、今回Blu-ray化されただけあって、画質・音質は素晴らしいの一言。HDテレシネならではの表現力の細やかさ、色彩の豊かさは、当たり前とは言え、既発売のDVDをはるかに凌駕している。ただし、特典が一切収録されていないのは残念だ。これだけディテールに凝った作品なので、是非ともバートンや豪華出演陣のコメンタリーやインタビュー映像が欲しかったところ。
その素晴らしい画質、音質の点だけでも、本作のファンならば、DVDから買い替えるべきだろう。
SF(ホラー)映画マニア・オタクが狂喜するパロディ、オマージュ満載(!)
CG特撮描写バリバリ全開の過激で滑稽な侵略エイリアン物超大作。 ハリウッド・スター(出演者)達を惜しみなく散々な目に遭わせる内容には拍手喝采。(使い捨ての様に名優を殺す場面は圧巻。)
一癖も二癖もあるエイリアンのキャラがこれまた傑作、クライマックスにはグロ・グロ脳味噌炸裂スプラッター場面の連続でゲテ物マニア満足の展開あり。
今や知名度高い作品だが、万人受けする事もないカルト映画である。
オチは、日本昔話の「姥捨て山」に似ている。(こっちの、おばあちゃんは、天然だが・・・) 偽悪的なギャグを執拗に並べながらも、根底には、意外に生真面目な一面が透けて見える気がした。
通好みで癖のある監督(多分にアート系)から誰もが知ってる監督まで、色んな監督の実現しなかった映画について詳しく書かれている。そういった作品のシナリオや原案も抄録されていて、作り手のこだわりを強く感じる。 しかし、カラーページで珍しい写真を出来るだけ見せたかったからか、写真の上に細かい字が沢山書いてある。それが大変読みづらい。たとえビジュアル重視でも、もう少し読みやすいレイアウトに出来たと思うと、とても残念だ。
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