火坂雅志の短編集。全14編で構成されており、半日で読み終わってしまった。
石田光成や蒲生氏郷などメジャーな武将も登場するが、各話の主人公の大半は、名前を聞いたことがあるかなという程度のマイナーな武将達。しかしながら綺麗な構成で短編集の持ち味を十分に発揮しており、戦国マニアでもそうでもない人でも楽しめる内容となっている。
難があるとすれば、やや濡れ場のシーンが多い点である。これは作者の好みであろうが、話毎にそのような描写が連発してくるのには苦笑を禁じえない。だが別段この本への評価に大きくマイナスとなるほどではないし、この手の描写も作者が好きなだけあって上手なので、濡れ場を毛嫌いするような人でないのなら問題はないと考える。個人的には、むしろあったほうが面白いと思わないでもない。
武将たちの生き様に、様々な逸話や色恋を絡めた良作である。特に第1編の「うずくまる」と最終編の「老将」は素晴らしい。ぜひ一冊は持って置いておきたい作品。
例えば、100年に1人の天才がいたとすると、前後100年には天才は現れてはいけないのだけれど。
なぜか集中してしまうことがある。 ビョルン・ボルグとジョン・マッケンローとか。 日本でいえば、織田信長と豊臣秀吉と徳川家康とか。
日本史上の人物でいうと、この時代に歴史ファンなら過半数が支持する組み合わせは、上記3人組でなく、 竹中半兵衛と黒田官兵衛だろう。 ぼくもその一人。
豊臣秀吉が天下人になったのは、本人の才覚と弟秀長と竹中半兵衛と黒田官兵衛と蜂須賀小六がいたからだと思う。 なかで黒田官兵衛が最大功労者なのだ。 有岡城での幽閉、高松城の水攻め、中国大返し、関ヶ原の変時の九州刈り取り、ドラマ要素に事欠かないのに、なぜか主人公としてはドラマ化されていない。 2009年にNHK会長に嘆願書を出したグループがいるそうで、そうなってくれたら、日曜も土曜も見るのに!
さて、その黒田官兵衛だが、軍師の門では、大人びている。 作者の火坂さんは黒田官兵衛の隠居後のすがたをイメージして書いたんじゃないかと思うくらい、達観している。
気が若い人のはずなのだけれど。 その点、司馬遼太郎の播磨灘物語だと、若く気概に溢れた黒田官兵衛を味わえる。
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