TVドラマ「永遠の仔」のサントラ。 TVドラマのサントラとしてはレベルは高いと思う。 ドラマの雰囲気の絶妙に絡む冷淡な音世界はデザートアンビエントだ。 つまり音が前面にでるのではなく、あくまでデザートの役割を果たしているのだ。創ったのは半野喜弘。あの坂本龍一との活動などで有名だ 教授の影響を受けたと思われる曲群はこれからのTVドラマサントラの 新しい方向性を兼ねている。
さみしいだけの曲である。 その1つの曲を、わずかに楽器の編成を変えつつ、3度繰り返してみる。 するとどうだろう・・・・・・やはり、さみしいだけなのだ。 次第に、聴くにつれて疲労してくる。 この倦怠感に満ちた1つの曲のために、この定価設定で売るのはどんなものか?むしろそちらに疑問が湧く。 しかし、このCD自体は、けっして悪くは無い。憂鬱に抱きすくまれて、さみしく薄暗い気分のなかへ、落ち込みたいだけ落ち込めるだろう、浸りたいだけ浸れるに違いない。なりたければ、の話である。
原作を読んでから、このDVDを見ていただきたい。原作の意図を丁寧に汲み取り忠実に、小説の世界観を表現している。オープニングのヘリコプターで空撮された山のシーンと、町から孤立した児童養護施設のコントラスト。優希が海に入るシーン。それにしっとりと絡みつく芳醇な音楽。単なるテレビドラマの枠を超越している。この作品も、製作されて早10年。時が過ぎるのは本当に早いものだ。当時は携帯電話が本格的に1人1台普及し始めた頃で、通話料金が高かったため緊急の用事は携帯電話、何気ない電話は固定電話や公衆電話だったのだと思い返す。子供たちが園を卒業してからの詳細は原作でもあまり触れられていなかった。優希がどのようなプロセスで看護師になったのかが興味深かったのだが、これは読者の想像に任せるようで、触れられていない。音楽は坂本龍一、俳優、女優、いまとなっては一同に競演するのが難しい実力派ぞろいだ。今は亡き古尾谷雅人の狂気を感じさせる演技、その後の死を予感させられる。森本レオの温かい声。中谷美紀の透明感にあふれた美しい演技。今も個性派女優として異色の存在感を示している。石田ゆり子は、無理して明るく振舞う幸薄い女性の役が似合っている。こちらもいい女優になった。どちらの女優も声がいい。2006年、渡部篤郎は単身フランスに渡った。「ラ・ブリュイ・デテ・ア・ヒロシマ 24時間の情事」を舞台化するために。さらに難しい世界に飛び込んでいく。彼らは、この難解な作品に立ち向かうことで、その後の役者を続ける原動力になったのではなかろうか。生きることの難しさ悩み。バルザックやドストエフスキーを読まなくても、この作品で十分に学習することができる。ジャケットの写真が美しい。彼らの涙と苦悩の意味を考えながら原罪、人が祈ることの意味は何なのか、考えてみたい。この難解な作品を映像化しようとしたスタッフの高潔な志、勇気は、何者にも変えがたい。また、虐待などの難解なテーマにサスペンスのエッセンスをクローズアップすることで見やすくした製作側の配慮、文句なしの賞賛に値する。俳優とスタッフの想いが極度まで昇華した傑作として人々の記憶に残り続けるだろう。この作品は。
この本に出遭えたことを感謝したいです。
これまで、自分はあまり小説など好んで読む人間ではなかったのですが、 あるラジオがきっかけで興味を持ち、読ませていただきました。
読み進める上で、人間の奥に潜む欲望・葛藤、そして醜さや脆さといった部分をすべて見せつけられているような、しかしその一方で、「生きること」の意味を深く考えさせてくれるような感じを受けることができました。ここまで心を揺さぶられた本は初めてです。
ぜひ一読してほしい作品ですが、特に、20前後の(自分のような)多感な時期である方にはぜひ読んでほしいと感じました。
坂本龍一 Lost Child が気に入って10年ぶりに読み返した.今の時代だからこそ,もう一度読み通したい.子育てを経験して初めて理解できることも多い.この本のメッセージを十分に理解するには,もっと自分の時間が必要かもしれない.大人のもろさ,子どもの強さを思い出せる小説.
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