観客を困惑させ、曖昧極まりなく感じるのこの作品 脚本には、X軸・Y軸まで使って4つ異なる時間と空間が 互い違いに入り組む形で構成されており。 脚本を担当したアラン・ロブ=グリエ曰く 「非常に緻密に計算された作品で、曖昧さのかけらもない」 そして、宮殿の壁をピンク色にしてモノクロ映像をより美しく見せています。 不気味なオルガン・・・無表情な召使たち・・・紳士・淑女たちの空虚な会話・・・ 無限に続くかと思われる廊下・・・ 現実とも幻想ともつかない世界に酔いしれます。
時間と空間、意識と無意識を自在に動き回り、見る者を翻弄する映画。ストーリーなど、あるようで無いに等しい。「ゴドーを待ちながら」の読後感と似ている、といえば、この映画を見た印象を少しは説明したことになるだろうか。黒澤の「羅生門」の影響を監督は認めている。 映画でしかできないことを、見事に映画化した、ということもできるかもしれない。言葉では表現しようのない映画。 見ている間、目の前の画面で何が行われているのかに関係なく、見終わってしばらくすると、妙に気になって、また見てしまう。不思議な魔力を持った映画だ。 難解なのに、決して眠くなったりはしない。 わかってもわからなくても、90分という時間を画面と共有できる作品だ。
スノッブな学生の頃、つまり30年ぐらい前に、この映画やヒロシマ・モナムール、ヴィスコンティのルートヴィヒを映画館でみたのをおもいだす。 ちっとも面白いとは思わなかったけど、わかったような顔をしてみた。
ほかの人のレヴューをみていたら、今でもこんな映画をおもしろいと感じる人が多いのに感心した。
フェリーニやゴダールまでも簡単にDVDで手に入るなんて、なんかありがたみがないけどね。
学生のときにはじめて見て、映像が作り出すダークさに心を奪われ、以降しばらくの間、何回も繰り返し見ています。 ストーリーを期待しちゃうと滑りますが、雰囲気は抜群。 ただ、その映像を流しておくだけでもいいかも。 バロック的なもの、スタイリッシュで耽美な雰囲気を 求める方に、お勧め。
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