「戦慄の旋律」と「おろし金に白い指」 ともに漫画原作があります。 ホラー的あおりのジャケットですが、どちらもホラージャンルに分類してしまうのは難しい作品。主人公が日常のひとつのアイテムからふとしたはずみでその謎に迫っていくというのは共通。
戦慄の方は時間も短く、やや直球のサイコホラー?でしょうか。聴く者を例外なく虜にしてしまうタイトルも歌手も不明なスキャットのアナログレコードが題材。どうしてもそれを自分のものにしたくなり、友人から盗んでしまう主人公、逃亡の途中で彼女はそのレコードの秘密を知ってしまうことに。そして… おろし金に比べるとすっきりとまとまっていて、きっちり終わります。
おろし金の方は、不条理ミステリーといった趣で、基本シリアスな作品でありながら原作者の不条理ギャグテイストが色濃く出ている作品。連続ドラマ形式の1時間程度の尺。何度見直しても謎が残るあたり、不条理でしか片付けられない部分があります。 主人公は二世代同居世帯の専業主婦、姑さえいなければ…という環境です。そういう専業主婦を冒険に駆り立てるアイテムは、あまりにも切れ味の鋭いおろし金。時を同じくして実家に戻ってきている義理の妹や最近出没する下着泥棒といった要素も主婦の冒険をあと押ししていきます。 結局は謎は謎のまま、解決するのは全然別件だけという結末、もやもやさせてくれます。 ラストの熊用のわななどドラマ的には完全に蛇足ですが、原作者テイストを出すには不可欠だったりして評価の難しいところなのです。
どちらも後のJホラーブームを支えたスタッフの20年以上前の作品です。
この日をどれくらい待ちわびたことか!
遂に幻の「まんがNO.1」の一端を覗けるなんて!!!!
まんがもさることながら、井上陽水の「桜三月散歩道」は「氷の世界」に入ってる「桜〜」とは違うナレーションが入ってて、こっちの方が「氷の世界」バージョンに較べて名曲とマニアの間で言われてただけに、聞けるのが非常に楽しみ。
第1話の『昌代さんのおろし金』。主婦の必需品、「おろし金」。しかし、その刃先は、ガラスの破片のように、必要以上に鋭利なものであった。手に傷を負った主婦昌代はそこに制作者の『悪意』を感じ取る。なぜ、そのような恐ろしい卸し金を作ったのか、その動機は?そこで調査に乗り出すことにする。その他、『白蟻御殿』も面白い。新築祝いに来た客人にカップ麺を出すシーンでは思わず、腹を抱えて笑ってしまった。漫画でした表現できないミステリアスな世界を、天才山上たつひこが縦横に描く。しかも随所に、彼ならではのギャグ散りばめるられている。読者は本書の世界に浸り、きっと至福のひとときを堪能するであろう。
|