映画館で上映される度に観に行きました。 同時上映は「24時間の情事」 どちらも大好きな映画です。 今はDVDで好きな時に観れる、いい時代になりました。
この映画は筋は難解で良く解らないのですが(^^;)、何と言っても物凄い映像美に引かれて何度も観ました。 もうワンシヨット、ワンショットがそのままアートポストカードに出来るくらい。 こんなに美しい映画があるのかと驚嘆したくらいです。 長いし筋は難解ですが、映像美を堪能するだけでも値打ちモノの映画だと思います。
カメラのスローな視線に合わせて、シャトー・ホテルのバロック的な室内装飾を追いかけていくうちに劇中劇の中に観客は投げ込まれ、そこから非現実的なテアトルのように物語が進行します。この映画にとって時間や場所は重要なことではなく、登場人物の性格すら物語の中から排除されています。物語が進行するホテルの中は時間や場所の観念を離れた迷宮であり、登場人物たちは血の通っていない彫刻のようにそこに存在するのです。アラン・ロブ・グリエのいっさいの政治的や思想的、物語的な要素を排除した脚本とアラン・レネの映画的なすべてのものへの審美眼が素晴らしい、何度見ても脳を刺激される映画です。
カメラの構図は絵画的で、シュールレアリスムやキュビズムの絵画を思わせるシーンがいくつもあります。また衣装はシャネルだったと思いますが、映像は絵画的であると同時にファッション写真のようにセンスよくお洒落です。時代を超えても古くならない、普遍的な意識と美的センスを備えた数少ない映画のひとつでしょう。
学生のときにはじめて見て、映像が作り出すダークさに心を奪われ、以降しばらくの間、何回も繰り返し見ています。 ストーリーを期待しちゃうと滑りますが、雰囲気は抜群。 ただ、その映像を流しておくだけでもいいかも。 バロック的なもの、スタイリッシュで耽美な雰囲気を 求める方に、お勧め。
いくら観てもよく分からない映画ではあるが、何となく恋愛というのはそういうものかという感想も持った。昨今はメリット・デメリットをうるさく言うことも多い男女関係だと思うが、そういう中でもなんとも言えない不思議な展開というのが恋愛というものにはあるのだと何となく思う。30年近く前に名画座で観たが、こういう不思議な作品を現代の日本を舞台にして誰か撮ってもらいたいものだ。現代のパリを舞台にしたくだらない映画よりもずっと世界でヒットすると思うが。
|