元々は舞台俳優であったヘンリー・フォンダが『アパッチ砦(1949年)』の後、ブロードウェイで同名のミュージカルを7年に及ぶロングランで成功し、それを映画化したのがこの作品です。7年ぶりにハリウッドに戻っての記念すべき第一作とも言える。
共演としては、オスカー男優のジェームス・キャグニー、『影なき男』シリーズでお馴染みのウィリアム・パウエルは今作が遺作となりました。そして、今作でアカデミー助演男優賞を受賞したジャック・レモンがいなかったら面白さも半減していたでしょうね。
それと、ロケ地がハワイということもあり、伝説のサーファーで水泳でオリンピック金メダリスト、ジューク・カハナモクも僅かなシーンでしたが登場しています。
狭い船内でのドタバタ劇はまるで劇場でやっているのではないかと錯覚するほどで、特に、ヘンリー・フォンダのロバーツ役がブロードウェイで長年やってきたせいか、とても自然で印象に残る演技でした。
ヘンリー・フォンダがとにかく粋だ。
190センチ近くの長身に海軍士官の制服が良く似合っていて、また身のこなしが実に感じがよく印象的だった。
それに物語の設定が、米国海軍のオンボロ輸送船でトイレット・ペーパーを運んでいたりして、面白かった。
レモンも上手かった。饒舌の士官役はピッタリだ。
そして誠実なロバーツの人柄に、みんなが惹かれていく展開も、さわやかで良かった。
最後のシーンは、しんみりとしてしまった。
しかし、ロバーツの誠実な心意気は忘れがたいものとして残った。
おすおすめの映画です。
ヘンリー・フォンダが死んだとき、テレビの各映画番組は追悼プログラムを組みました。 僕の記憶が正しければ、 「水曜ロードショー」の水野晴郎さんは「十二人の怒れる男」 「金曜ロードショー」の高島忠夫さんは「黄昏」 そして「日曜洋画劇場」の淀川長治さんが紹介したのが、この作品でした。ほかの2氏が担当した作品も素晴らしいですが(月曜ロードショーの荻昌弘さんはどうしたか覚えていません)、やっぱりこの素晴らしいコメディをOAしたのは、淀川さんのセンスのたまものだと思います(彼に放映する作品を選ぶ権利はなかったのかもしれませんが、あえてそういうことにしておきます)。 極上の娯楽作品です。特に話法のテンポのよさは、今の映画は見習って欲しい。あれだけの人間ドラマを描きつつ、ちゃんと122分。しかも、これは「コメディ」なのです。それなのに、現在の表面だけは深刻ぶっている作品よりも、よほど深く心に突き刺さります。現在なら、深刻な「社会派ドラマ」になって、時間も2時間30分ぐらいの「超大作」になってしまうかも。 なんて真面目に書きすぎました。本当にジャック・レモンの演技は笑い転げること必定です。笑って、ハラハラして、また笑って、さいごはほろりとさせる。何度も書きますが、娯楽映画の王道です。今は「お笑い」ブームだそうで、僕もテレビを見て爆笑していますが、たまにはこういう「古典」を見て、そのレベルの高さに驚くのもいい体験ですよ。 正直に書きますが、やはりDVDは高いですから、どうしても買って下さいとは書けない作品でもあります。いい意味で「普通の映画」なのですから。でも、レンタルビデオ店にはなかなか置いてありません(東京はあるかな?)。ですので、普通の人は買って見て、保存したいと思うほどでもなければ、中古店に持っていってください。少なくとも差額分は満足できるはずです。
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