大好きなアルバムの一つで、大事に聞いてきました。SACDがあると知り、レコードとどれだけ音が違うのだろうと興味が出て購入した次第。CDの取り出しから、すでにわくわくしてしまいました。1曲目、「セントトーマス」。なんといっても、印象的なのはマックス・ローチのシンバル。レコードでも、「うーん、たまらんばい」というところなのですが、もう一段上の音でした。音の粒立ちが違います。そして、トミー・フラナガンのピアノ。これも一音一音粒がたっています。まるで、炊き立てのご飯です。といっても、満腹になるには、やはりソニー・ロリンズのテナー!いやー、これですよ!レコードと違うのは、もう一つ。低音でした。今までレコードではダグ・ワトキンスのベースを意識することは無かったのですが、SACDで聞くと、ダグが”俺もここにいるぞ”と目を瞑って演奏しているにもかかわらず強く主張しています。全5曲、「モリタート」を含めどれもそれぞれ素晴らしいのですが、僕は、2曲目の「ユー・ドント・ノー・ホワット・ラブ・イズ」このバラードの出だしを聞いた瞬間から、しみじみ、買ってよかったと思いました。レコードはレコードでいいのですが、しばらくはこのSACDをのめり込んで聞き続けそうです。お勧め!
ロリンズの、57年NYはVillage Vanguard でのライブを収めた超有名盤。LPではVol.1 とVol.2 に分けられていたものを、そこに含まれていなかったトラックを加え、曲順も整理しなおされてコンプリート2枚組として出たので、改めて買って聞いてみたが、これが実に良い!! ドラム、ベース、テナーというシンプルなトリオ編成による、飾り気はないが全体にゴリッと芯の通った、質実剛健ともいえる非常にかっこいいジャズ。夜のあのVillage界隈を思い出させるテナーの音色、印象的なスタンダードの数々、テーマに近すぎず離れすぎでもない絶妙のアドリブ、決して飽きさせないリズム・セクションと、聞くほどにアルバムの魅力が増す。夜に1人で聴いていると、そのハードボイルドな熱気に眩暈をおぼえるほどだ。
レビューをアップされている方の中に、このアルバムは名盤ではない、という人がいますが、人それぞれ、あると思います。ジャズは生きています。1956年6月22日に、マックス・ローチが、ダグ・ワトキンスが、トミー・フラナガンが、ソニー・ロリンズと演奏した、ソニー・ロリンズが、この演奏をした、ということなんです。(関係ないけど、その約1月後、私は東京の蒲田で生まれました。)マイルス・デイヴィスが、ジョン・コルトレーンが、(他にもいっぱいいるけど)、名演奏を残しています。1956年、それは、ジャズにとって、来るべき時が、来たときだったんです。その中でも、ソニー・ロリンズは、技術力もさることながら、暖かい人柄、そして、探究心・ミエを張らない自然体で、その後のジャズを盛り上げて行きます。 言っときますけど、 名盤 ですよ。 ついでに、言っときますけど、ケニー・クラークがモダン・ドラミングの「生みの親」なら、マックス・ローチがモダン・ドラミングの「育ての親」です。このアルバムでドラマーがもし、マックス・ローチでなかったら、名盤にならなかったかも。偶然もジャズが「生きている」証拠だと、思っています。
|