時代小説はあまり読まないのだけれど、ミステリアスなタイトルに惹 かれて買いました。 若い時のずば抜けた体力と狡猾さを併せ持った麻呂も、年をとって、 体力も衰え、性格も穏やかになった麻呂も共に好きです。 年をとった麻呂は穏やかながらも、どこか哀愁が漂って物悲しい感じ がもともに好きです。 自分が面倒を見ていた藤原不比等に次第に年寄り扱いをされていき、 麻呂もそういった状況を受け入れている。 元明天皇には長年の功績をねぎらわれて、もう引退してはどうかと言 われる。最後には自ら役職を退き、この当時としては異例ともいえる 77年の天寿を全うする。 なんか、切ないなあ、と思いました。 読者として若いころを知っているからなお更です。
一人の人物に焦点を合わせた大河小説として、本当に見事で味わい深い 小説です。 ぜひ、歴史に少しでも興味があるなら読んでほしい小説です。
標題から想像した内容とは少し違い、下級官僚から位人臣を極めた地位まで上った物部(もののべ)氏の石上朝臣のことを取り上げています。呪術系の内容かと思いきや、実際的な今で言う公安・外事・警護系の情報活動の達人による物語とも読めます。
流れを読む必要性は現代でも必要な中、天智・天武・持統・元明の4朝に渡って生き延びた没落氏族による生き残り・名誉回復と一族の繁栄を掛けた男の生き様が、織田信長や秀吉、家康ほど日本人になじみなくても、その参謀・補佐役である竹中半兵衛、黒田如水、天海僧正、本多佐渡守などにと違い、自分で生き延びていく強さが、リストラ社会・起業時代である現代に通じるものかと思います。
温故知新で、知っているつもりのものでも再度確認すると違いがあるかと思います。
中堅サラリーマンや情報担当の方は、参考に如何でしょうか?
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