このような、死刑囚となってしまった人達の心理にとても関心を持っているので、かなり期待して読みました。ですが、この本は出版しない方が良かったのではないかという感想を持ちました。 それは死刑となった死者の心を守る為に、です。 勝田が著者に心を開いたのは、著者がキリスト者であったからというより、率直に言えば、多分に女性であったからのような感想を持ちましたし、勝田の語る女性としての著者への「恋心」の迸る沢山の文は、公開してはいけないもので、それは心に秘めておくべき使命が著者にはあったのではないでしょうか。 何の為に本にしたのか、疑問に思いました。 勝田が人生の最期の時に、心を許せる女性と巡り会えたことは幸せであったと思うと同時に、その信じていた女性に、秘めたるラブレターやさらけ出した心の全てを、一般に公開されてしまったとも言える勝田を、気の毒にも思いました。 また、著者を支えたのは(あまり書かれてはいませんでしたが)著者の夫や子供たちに他ならないと思います。「妻の、母の、恋心の混ざった他者への情愛」をキリスト者であるということで許して見守ってくれた家族には、勝田氏に対して以上に感謝しなくてはならないと思いました。 それにしても、勝田の魂は、今きっと安らかであると思えば、嬉しいですね。 それはやはり著者との関わりがあったからこそですね。
一体、犯人は何を求めたのか。失敗をしながらも認められ、幸せをつかんでも、それ以上に何を求めたのか。犯人をここまで駆り立てたものは何だったのか。その理由とこの悲惨な事件とのバランスがあまりにもとれていない。
著者の本はこれまでにも何冊も読んできたが、この事件を著者が取り上げたことは私にとっては良かった。
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