本書は歴史哲学の入門書である。
歴史学書と歴史小説の違い、現代社会への有効性、
歴史学自体の変遷、歴史家の営みについて
順を追って説明している。
歴史学は個人の社会認識や日常生活の改善に役立つ。
これが筆者の主張だ。
この主張自体には賛成しているが、筆者の文章の癖なのか、
最後まで読まないと結論が何なのかが理解しづらかった。
とくに、1章は個人によるがイライラするほど冗長で、
一体何が言いたいのかが不明確なので、ここで挫折する人間も多いだろう。
内容自体は良いだけに、この全体の構成がおそまつな点が残念である。
なお、この本は歴史学ではなく歴史哲学の本であるので、
実際にどのように研究するかに興味がある方には、
C・ラングモア『歴史学入門』を読むこと。
※歴史哲学とは、
歴史学とは何か、何のために学ぶかを考える学門である。
頑張って読了すること。
読了したならば、巻末に記載された推薦図書を何冊か読んでみよう。
私としては『動物裁判』を推す。
筆者も述べているように、
渓内譲『現代史を学ぶ』か、カーの『歴史学とは何か』を
読んでもよい。各自、財布と相談して決定すべきだろう。
メディア史に身を立てた著者の歴史学。言葉はたくさんあれど、読んでいて感じたのは、歴史という巨大なる世界を前にした著者の謙虚な姿勢である。ニュートラル、公平、自然体、遜恭・・。大きな、大きな歴史に対し勇み足をするわけでもなく、あとしざりするわけでもなく、凜と構える歴史学の徒の姿を見習わざるを得まい。そんな書に思える。
学校で行われる「歴史学基礎」ないし「歴史学概論」を一冊にまとめたものです。
本書は初学者向けに書かれており、歴史という学問に関わる予定の
若い方々は触れておくといいでしょう。
また参考文献を頼りに自分の関心のある書を手にしてみるのもいいでしょう。
初学者にはもってこいの本だと思います。
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