恐ろしいくらい美しいです。聞いた瞬間レコードのなかへ吸い込まれていく感じがあります。もう二度と同じ空気感は出せないでしょう。あの殺気立っているのにウィスパーヴォイスでそれを包み込むようにする感じまるで魔法、呪文を唱えているかのようにスリリングな空間。これを歌えるのは世界でたった一人ブリジットフォンテーヌだけです。
ラジオのように(英語ヴァージョン)の英語バージョンあるの知りませんでした。
バックバンドを務めたArt Ensemble Of Chicagoとアレスキーベルカセムの演奏も素晴らしい。 不気味なサウンドにぼそぼそとクルーナ―のようなささやき声。奇怪だけど、引き込まれる。いけない世界に足を踏み入れてしまったような錯覚。
LP⇒CDだと全然音が違う。どちらも良い味が出ててこのアルバムがより一層好きなった。
この後の一連の代表作を先に聴いてしまっていると、「何だ普通のシャンソンじゃないか」、と思ってしまうかもしれません。しかし、バックの演奏がまともな分、詩やモチーフの選定が異様で、やはり彼女らしい作品としかいいようがありません。私は、高校生時分に、田舎のレコード屋にこれしか置いてなかったので、しばらくこればかり聴いていました。天才アーチストというものは、抑えきれないものなのですね。みずみずしくも、非妥協的な内容のこのアルバムは、ブリジット・フォンテーヌという非凡な才能の魅力を垣間見せてくれる作品だと思います。
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