Penguin版を底本にして書かれている英語での 作品です。後ろのほうに単語の説明もついています。 字が大きくて、舞台か映画の写真がところどころに 挿入されているので、原書に当たるまえによむと いいと思います。
テネシー・ウイリアムズの名作をエリア・カザンが映画化した名作中の名作。主人公のブランチをヴィヴィアン・リーが扮している。ヴィヴィアン・リーは、「風邪と共に去りぬ」に続いて二度目のオスカー。美貌のヴィヴィアン・リーの狂気と正気の境目を泳ぐような演技がゾクッとするほどリアル。彼女と同居し、ソリの合わない妹の夫を演じるのがマーロン・ブラント。粗暴でありながら性的な魅力をあわせもつ男。奥歯を噛み締めるような独特の喋り方などマーロン・ブラントならではの存在感。 この映画の良さは、文学性を損なうことなく映像化されている点にあると思う。出演者の目の動き、視線の交差、声の強弱を積み重ねて、点と点が結びつき、物語が一つの方向に動いてゆく。そして、観るものは、自らの記憶と絡み合って「欲望という名の電車」を体験する。2時間を超える作品であり、モノクロ、現在のSFXなどもない作りだが、俳優の名演と監督の演出によって見るものを圧倒する。映画のお好きな方にとっては一度は観ておくべき作品。
8ページぐらい写真入りでお得。 原作と映画「欲望という名の電車」では最後が違っています。 スタンリーがブランチを滅茶苦茶にするのをステラは見てません。 表紙はマーロン・ブランドの裸体ですが、ヴィヴィアン・リーの狂気の顔でもよかったんじゃないかな。
ビビアン・リーが、狂気極まる姉の役を見事に演じている。精神を患ってしまった主人公は、あまりにも繊細で、はかなく、観ていながら、こみあげてくるものがあった。スタンリーのすさんだ暮らしや性格も、マーロン・ブランドが熱演していた。ビビアン・リーの主演映画は、女性の生き方について考えさせられるものが多々あり、見ごたえがあると思う。
ジェームス・ディーン。彼の魅力は、甘いマスクと少年の輝きを持ったオーラにある。そのディーンが憧れた男、マーロン・ブロンド。彼の魅力の中に、少年の輝きは見られない。あるのは、たくましさや野性的な咆哮。見通しを持たずに走り出せる強み、そして、男として見せるもろさにある。打算やしがらみに縛られた男達に、なにかを語りかける映画である。
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