石原さんが出合った人生の素晴らしい達人達の生き様を紹介するお薦めのエッセイ。ここに登場する人々のいかにも男らしい、まさに日本男子と評することのできる方たちと石原さんとの折々の交歓が独特の硬質で美しい文章で活写されている作品です。(因みに女性は一人も登場しません)石原さんは後書きでこの本はいわば私蔵の美術館のようなものだと結んでおられますが、随分贅沢なめぐり合いに恵まれたのだなと羨ましく思います。今ではすっかり強面で鳴らしておられますが、このエッセイを読みますと石原さんはこれらの先達方に大変礼儀正しく対処されていることが伺われ、叱られそうですが湘南のお育ちの良いお坊ちゃまであったこともこれらの方々から石原さんが可愛がられた所以かなとも感じたものでした。
さて以下は私の個人的な思い出話です。 湘南高校の先輩でもあった石原さんをはじめて見かけたのは私が中学1年、石原さんが芥川賞をとられた直後のことだったと思います。当時の石原さんのお住まいに路地をはさんで断層と褶曲層が入り組んだ珍しい30メートル程の崖があり、そこではいろいろな貝の化石を採取することができました。私と仲間は崖の上の木にロープを縛りそのロープで体を支えながらハンマーで化石取りをしていました。たまたま縁側にでてこられて見上げ、崖先の私達に気付かれた石原さんのお母様がいかにも危なげな子供達を心配されて、もうおよしなさいというようなことをおっしゃり、庭でゴルフの素振りをされていた慎太郎さんに同意を求められました。その時慎太郎さんは突き放すように言われました。「君たち、墜ちて死ぬのは勝手で構わないが、そうやって君たちが削り落とした岩が道路に散らかって歩きにくくて困る。それを片付けてから墜ちてくれ」 時折都議会での石原さんの答弁を見聞きするたびに少年の日の小さな冒険のことを思い出して、相変わらずの石原レトリックに微苦笑します。
来生さんのいいところがいっぱいつまったCDです。2曲めの「ファー・アウェイ」なんて、もう感涙モノです、何度聴いても。3曲めの「P.Sメモリー」もグッド!9曲めの「暗闇にあやふや」はちょっと官能的でいいですね。CD買いたいです~。
本書は、1920年代のアメリカ社会史の傑作である。原著は、1931年に出版された。「ほんの昨日のことのようによく覚えている事件や状況」を書き記したものである。 同じ著者による『シンス・イエスタデイ 1930年代・アメリカ』という余り知られていない続編もある。こちらも面白いのだが、1冊だけというならば『オンリー・イエスタデイ』ということになろうか。 1920年代のアメリカは、共産主義とK・K・K団の脅威とその退潮、生活とモラルの革命、誇大宣伝、禁酒法とカポネ、不動産ブーム、株価の高騰と崩壊…といった時代であった。 禁酒法(1920年実施、33年廃止)は、映画などで多少のことは知っていたが、信じがたい。それは、「動機が高潔で目的は高遠」であった。しかし、結果に対する想像力が欠如していた。緊密な組織を持った禁酒勢力は、組織を持たない禁酒法反対勢力より強力であった。 また、法案が議会に提出された1917年は、戦争(第1次世界大戦)に関心が奪われ、国民は「ほとんどうわの空だった」という。 1920年には婦人参政権が実現した。女性の断髪、口紅、喫煙、短いスカート。缶詰、デリカテッセン、クリーニング店利用率の急増。電気洗濯機、掃除機の普及。そして、就業。女性は「自分自身のために生きる」ようになった。 ラジオ、自動車、ゴルフも普及した。アメリカは繁栄し、実業が尊敬された。また、新聞は種類が減って、発行部数が増え「ニュースや考え方も大量生産」された。脅迫的な広告で歯磨や口臭防止剤が売れた。 アメリカの人々は「一時的に一つの事項に興奮」した。リンドバーグ、麻雀、クロスワード・パズル、精神分析、ジャック・デンプシーの試合に7万5千の観客が集まった。 日本の「ほんの昨日のこと」でもある。
本書は、1920年代のアメリカ社会史の傑作である。原著は、1931年に出版された。「ほんの昨日のことのようによく覚えている事件や状況」を書き記したものである。 同じ著者による『シンス・イエスタデイ 1930年代・アメリカ』という余り知られていない続編もある。こちらも面白いのだが、1冊だけというならば『オンリー・イエスタデイ』ということになろうか。 1920年代のアメリカは、共産主義とK・K・K団の脅威とその退潮、生活とモラルの革命、誇大宣伝、禁酒法とカポネ、不動産ブーム、株価の高騰と崩壊…といった時代であった。 禁酒法(1920年実施、33年廃止)は、映画などで多少のことは知っていたが、信じがたい。それは、「動機が高潔で目的は高遠」であった。しかし、結果に対する想像力が欠如していた。緊密な組織を持った禁酒勢力は、組織を持たない禁酒法反対勢力より強力であった。 また、法案が議会に提出された1917年は、戦争(第1次世界大戦)に関心が奪われ、国民は「ほとんどうわの空だった」という。 1920年には婦人参政権が実現した。女性の断髪、口紅、喫煙、短いスカート。缶詰、デリカテッセン、クリーニング店利用率の急増。電気洗濯機、掃除機の普及。そして、就業。女性は「自分自身のために生きる」ようになった。 ラジオ、自動車、ゴルフも普及した。アメリカは繁栄し、実業が尊敬された。また、新聞は種類が減って、発行部数が増え「ニュースや考え方も大量生産」された。脅迫的な広告で歯磨や口臭防止剤が売れた。 アメリカの人々は「一時的に一つの事項に興奮」した。リンドバーグ、麻雀、クロスワード・パズル、精神分析、ジャック・デンプシーの試合に7万5千の観客が集まった。 日本の「ほんの昨日のこと」でもある。
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