個人的な話になるけれど、僕が最初に聴いた友部正人のアルバムであり、そのときの、ガツン!とやられたような衝撃が忘れられない。 それからもいろいろな体験をしたけれど、決定的な記憶として心の奥深くに残っている。
とにかく、分類のしようがない音楽で、もちろんロックなんだけど、非常に複雑な、微妙なところで、よくあるロックとはあきらかに違う部屋にいる。 そして本来、日本のロックとは、こうであるべきだったのかもしれないが、他に誰も到達できていない。
フォークから、もっともっとエレクトリックになってきて、本当にロックしているんだけど、言葉とメロディーは、猥雑や悲壮ではなく、変な言い方になるけど、猥雑で悲壮なのに大変に高級な場所にある。
世の中がどんどんどんどん単純になってきているのだから、もっともっとこういう目に見えにくい複雑さをもった作品が聴かれるべきだ。
掛け値なしの一級品である。
まじいんです!ファン必見です!
私は、このイベントに対して詳しく知らない。もちろん当日に会場にいたわけでもない。 たまたま、ポエトリーリーディングという表現活動に興味をもち、そしてたまたま好きなアーティストが何人も出ていたので、残り1点の表示に、迷いながらも購入した次第。(しかし残り1ではなかったのだけど。こういうことがあるとは分かっていても、やられた気分だ)
さて、私は、谷川俊太郎さん、元たまの知久寿焼さん、石川浩司さん、遠藤ミチロウさんの朗読を聴きたいと思って購入したのだが、正直何か物足りない内容になっている。特に知久さんに至ってはすごく短い詩であり、雰囲気はあるものの、すぐに終わっちゃうので、たまのファンの方で、知久さんの声に長く酔いしれるのを期待しての購入は、おすすめしない。ほんとに短い。
そもそもDVDなのに、みんな一遍ずつしか収録されていないことと、特に、何という特典映像があるわけでもないことは、かなりのがっかり感である。私がちゃんと収録内容見てなかったのが悪いが。それにしても、がっかりである。 最後に、主催者である友部さんの歌が収録されているのは大変よかったが、その演奏途中に、おそらく時間的にDVDに収録しきれなかったような各詩人のシーンが、チラチラと見える。ほんの十数秒ではないかという印象だった。 特に私が気になったのは、知久さんが、何かを話しながら瓶ビールを飲んで笑っていて、そのあとウクレレかミニギターを手にしたのが写ったところだ。
あれは、なんだ。
もちろん音声は友部さんの演奏なので、きこえない。 あんな本編短いならそこも入れろよ!!!!!と思わず、叫びたいくらいだった・・・。他のアーティストの映像もそうだ。内容が気になって気になって、仕方ない。胸がもやもやする。
谷川俊太郎さんが、皆さん5時間もおつきあい頂いて と、朗読を始める前に挨拶されたので、おそらく長かったからだろうとは思うが、そこは少々高くてもいいから何枚組かにして全部収録して欲しかった。何か楽曲の著作権やら色んな大人の事情があったかもしれないが。視聴者の気持ちはそのようなものです。
そしてなにより最初から不満だったのは音声だ。めちゃくちゃ小さい テレビの音が聞こえない 壊れてると疑うくらいだ。 あとは、メニューで、なんか変な音がしている。あれは、演出?それとも私の盤が、壊れてるのでしょうか。 そこが気になっている。
私は、これの他に、実は、live no media2のCDを買ったが、あきらかにそちらの方が、音声的にも、内容的にもかなり充実していると思う。 DVDで、この値段、CDであの値段。収録内容もアーティストもちがうけど。
正直、この朗読会。わざわざDVDにする必要はあったのかと思います。 CDにして詩を一杯いれたら安く販売できてよかったのではないですか。
ただ! もちろん出演者様の詩自体のクオリティーは高いものではあった。 なので詩人の皆様への敬意を含めて☆は三つにします。DVDだけであれば、1か2です。
しかし、本当にこの収録は、物足りない。もったいない。
吉野金次さんの名前は『風街ろまん』の時からもちろん知ってる。珍しい字面(じづら)の名前なのでクレジットの欄でも直ぐに目につく。当事の『ニュー・ミュージック・マガジン』などでお顔も何回か拝見した。でもミュージシャンからこれだけ慕われてるひとだったとは・・・。一介の音楽エンジニアなのに、その病気に際して日本トップクラスのミュージシャンがこれだけ集まって、治療費カンパのためのコンサートを開くような、そんなひとだったなんて。あぁ、わたしが無知でした。
矢野のアッコちゃんがホステス役を勤めてるのですが、これがまた急ごしらえっぽくて下手クソで、そこがまたイイです。なんの飾りッ気もない舞台で、音響も演奏も素晴らしい!というには程遠いけれど、それでも単なるノリとテンポ感だけで勝負しがちな今時の「ライブ」とは、なんだか全然ちがう「音楽」を聴けるひとときです。音楽ってのは人間が作ってるモンなんだなあ、って改めて思います。買ってよかった。
友部正人さんは不思議な人だ。不思議な歌手ではなく、不思議な「人」なのだと、ぼくは思っている。詩を書く人を詩人と一般的には言われているが、実は、詩とは書くことによって存在するものではなくて、声によって実在化するものではないかとかねてからぼくは考えている。文字としての言語は、確かにに一つの実在のあり方だが、実はとても歪なあり方に過ぎないのではないかと思う。こう書くと音声中心主義的だとの反論もあるかもしれないが、しかし、詩が肉体を通して実在化するとき、詩は一瞬の固有性を獲得する。詩は歌うとという行為を通して一瞬の固有性を獲得する。確かにCDなどによってその固有性は失われるが、少なくともその固有な時空への水先案内人にはなる。もし友部さんの不思議さに触れたいと思う方はぜひこのCDを聴いてみて欲しい。名曲「誰もぼくの絵を描けないだろう」を収めたこのCDはきっと次の友部正人さんに会いたくなるだろう。そしてきっとあなたの耳は生の友部さんを求めるだろう、とぼくは思っている。
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