敵討ちの大望を秘めた女形雪之丞が艶やかに狡猾に、敵である元長崎奉行達に迫っていくストーリーは、
時代小説の設定ではありがちかもしれませんが、この話は他の登場人物たちが活きています。
深く感動したり、じっくり考えさせられたり、ということは無い話です。ただ、読み終わったときに「あぁ、面白かった」と言えるキャラを活かしたストーリー。
それに「何か読み物を…」と思ったときに思わず手が出てしまう読みやすさ。
上下巻の2冊ですが、あっという間に読めます。
手軽で面白い時代小説をお探しの方は是非どうぞ。
昭和10年の作品だけあって、長谷川一夫(当時の芸名は、林長二郎)が若々しく怪しいほどの完璧な美しさです。 今の芸能人には見られない完璧な美貌を見ることが出来ます。 物語は、親の敵を打つ歌舞伎の女形が主人公・・というものです。 長谷川一夫はこの映画の中でなんと3役も演じております。 その中で彼は、主人公の母親も演じているのですが、それが本当に完璧な美女に見えるので驚きでした。 後の市川昆監督の同名の映画では、長谷川一夫も随分と年をとっていたので、同役での女装はかなりキツイものがありました。 映画全体を見ても、この昭和10年のものの方がスケールも大きく、ずっと素晴らしい出来ばえになっています。 とにかく何処をとっても「安っぽさ」を全く感じさせない大作に仕上がっています。 観ていると江戸時代にタイムスリップできる映画No1という感じです!
この映画は長谷川一夫出演300本記念作品と銘打ってあるオールスターものである。1935年の当たり役を再び持ち出した形だが、市川崑監督独特の映像の「お遊び」が目立ち、オールスター映画独特の華やかさは逆に感じられない。あくまで市川監督の繰り出す映像スタイルを楽しむような映画と印象が強い。往年を知るオールドファンはそれが不満だったと封切り当時を知る人から聞いた。しかし、私はこの映画はたいへん面白いと思う。暗闇で刀と刀が火花が散ったり、捕り縄がピンと張られ先がどうなっているかわからないというような趣向は、オールドファンは面食らうだろう。市川雷蔵扮する昼太郎はこの市川作品のオリジナル・キャタクターでコメディ・リリーフにしているのも面白い。悪役の中村鴈治郎は貫禄充分で所作も流石である。ラストシーンには徳川夢声のナレーションがまた秀逸、その語りぶりは惚れ惚れとする。
義経のときと同じ監督が滝沢さんの魅力をうまく引き出してくれています。 脇を固めるベテラン俳優陣とのコンビネーションもよく、また、黛監督が「和服を着た現代劇にならないよう、時代考証を大切にしている。」とおっしゃっているように、違和感のない時代劇に仕上がっていると感じました。 個人的には、闇太郎がもう少し元気があってもいいかな、という気がしないでもありませんが、義賊ですから品のある闇太郎も悪くはないかと。 ラストの闇太郎の表情は秀逸です。滝沢さんは、こういった「いろんなものを背負った男の表情」を演じるのがうまいので、このシーンだけ何度も繰り返して見てしまいました。 歌舞伎シーンも、滝沢さんの頑張りが伝わってきます。 丁寧に作られた、いい作品だと思います。
時代は変わっても名優の演技とセット等に力が入っているので上出来でしょう。最早 こうした時代劇は映像化は難しいでしょう。大映には銭形平次シリーズが有るでしょうから、是非ともDVD化が望ましい
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