一般会計から切り離して建設されてきた高速道路を、従来型の公共事業として位置づけ直す、という著者の発想は妥当なものだと思う。民主党は「段階的無料化」を標榜しているようで、一納税者および高速道路のユーザーとしては、著者の大提案が現実のものになることに期待したい。但し、無料化後の波及効果に向けての著者の展望はどうか。 無料化すれば地方と都市圏の交通が今以上に活発化することは予想できるとしても、地方の経済活性化に役立つとか、増設される高速道路の出入り口付近に「街」ができる、という観測はにわかには首肯できないように思われるからだ。瀬戸大橋の道路部分の通行料金は確かに高額(ウイークデイ)だが、高松につながるJRの運賃はそれなりにリーズナブル。だが、JR高松―岡山間が地続きになって高松駅周辺は見込み通り発展しただろうか。関西国際空港・連絡橋のたもとに建つ、片方だけのゲートウエイタワーの「失敗」をどうみればいいのだろうか。そして、東京湾アクアラインを無料化すれば、木更津は本当に繁栄するのだろうか。都市と地方、東京と東京以外の格差・不均衡は、交通コストの引き下げだけではいかんともしがたいのではないか。
福山雅治 魂リク 『いとしのエリー』 (歌詞付) 2013.03.23
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