稀代の天才絵師として一世を風靡した北斎、七十歳を超える頃の作品、『冨嶽三十六景』の錦絵をすべて見ることができる一冊。「三十六景」とありながら、その絵は全部で四十六枚あることを初めて知りました。
日本の霊峰富士を背景に、構図の面白さや大胆な視点から捉えた絵など、北斎翁の抜群の創意工夫と趣向を楽しむことができます。様々な土地から描かれた富士山はまた、空気が今よりも澄んでいて高層ビルなんかもなかった1830年(天保初年)当時の江戸の風景を想起させるものでもありますね。もっとも、絵によっては相当誇張して、遊び心も加えて描かれているので、実際にはこういう風には見えない景色がいくつもあるのでしょうけれど。
しかし、有名な「神奈川沖浪裏」の青い波がぐわっと盛り上がる一枚や、大きな樽の円の彼方にかすかに富士が見える「尾州不二見原」、網を打つ漁師の後ろに富士のなだらかな稜線が描かれた「甲州石班沢(かじかざわ)」の絵などは、実に風情があっていいですねぇ。一度見たら忘れられない印象の鮮やかさ。惚れ惚れさせられました。
残念だったのは、それぞれの絵をよりよく味わう鑑賞方法の新鮮さ、はっとさせられる鋭い指摘が文章に不足していたこと。鑑賞の仕方がアマチュア的というか、美術ファンの感想文の域にとどまっていたのが物足りなかったですね。絵を数点取り上げて、その部分を拡大したり、構図の面白さを線や図形で示して見せるなど、さらに密度の濃い解説文を求めたくなりました。
メタルギアPWのプレミアムパックが欲しかったのですが予算がなくアクセサリーキットとこの商品を購入しました。
見た目は非常にメタルギア&アクセサリーキットに合っていて大変満足しています。
商品は表面×1枚、裏×3枚(UMDキャッシュ部に合わせて)の構成です。 貼るのは非常に簡単に貼れます。剥いだ後も粘着後は残りません。若干伸び縮みできるため貼りやすかった印象です。 表面の欠点は、十字キー部が周りの丸い円に合わせているたも下地が見えます。スピーカー部が穴ないため貼った後切り抜かないといけません。切り抜かないとカナリ音量落ちます。
裏面欠点は、表から見て向かって左の裏のシール端がビス穴と被ってしまうためそこから剥がれやすいです。 それでも価格からみればいい商品だと思います。
プレミアムパック買えない方!!是非安上がりカスタムをオススメします!!
90歳まで生きて、日本だけでなく世界にその名を知らしめた北斎の生涯と代表作を比較的多くのジャンルと年代から網羅したムックだと思います。なにしろ生涯に30000点ほどの作品を生み出したのですから、その全作品から300点を選択し掲載する作業も結構難しかったでしょうね。 監修・執筆の大和文華館長の浅野秀剛氏、法政大学准教授の小林ふみ子氏、下関短期大学講師の高杉志緒氏の解説もまた参考になりました。
この200ページ近い本書を通読し、その代表作に再び触れたわけですが、北斎は「浮世絵」の大家として、日本が誇れる天才絵師でした。 冒頭から「富嶽三十六景」の代表的な作品を10点選んでいます。北斎は71歳から制作に取りかかったのですが、いずれも名品ぞろいです。それぞれの作品の狙い、意図、隠れた意味などが説明されており、知っているようで知らない世界を分かりやすく解き明かしてくれました。見開き2ページを使用し、ほぼ原寸大の「神奈川沖浪裏」などは、ドビュッシーに交響詩「海」の制作意欲を掻き立てたと言われているように、作品のインパクトは今でも如実に感じます。この作品をじっくりと眺めているとあらためてその凄みがまざまざと伝わってくるでしょう。
どうしても浮世絵版画である錦絵の北斎に目がいきますが、16ページには新出肉筆画の「鍋被り美人図」という珍しい作品も掲載してあり、それが本書の価値をより高めていると思いました。その作品も含めて、本書の特徴は、北斎の肉筆画の魅力を存分に伝えている所でしょうか。44ページから「肉筆風景画」の名品を掲載してありました。それらの精緻な表現、豊かな色彩、個性的なモティーフ、どれをとっても1級品の作品です。実際に美術館で対面した時にその素晴らしさは実感できるでしょう。 92ページに見開きで掲載してある肉筆画の「酔余美人画」での芸妓の表情、しぐさ、衣装、小道具は絶品です。首の角度は不自然なほど曲がっていますが、それがこの作品の個性を強調し印象付けているのです。
「北斎漫画」に代表される刊本や、シーボルトが持ち帰った風俗画や、妖怪画、春画、有名な「鳳凰図」なども収録してあり、画狂人という名にふさわしい活躍ぶりを確認できるでしょう。
『もっと知りたい〜』シリーズは、主要作品を載せているだけではなく、その画家の生涯についての解説やコラムが充実していて、価格とボリュームのバランスも良いので入門書としては本当に最適だなあといつも思っています。 本書についてももちろん大満足でした。
北斎の膨大な作品から主要な作品をチョイスして載せてくれていますし、作品だけでなくその生活も魅力的な(?)北斎の興味深い話がたくさん載っています。
存命中から人気絵師だったにも関わらずとてつもなく貧乏で、80歳を過ぎてからも「猫一匹上手に描けやしない・・・」と娘の前で涙を流したり、90歳で亡くなる直前に「あと10年、いや、あと5年生かしてくれれば真の絵描きになってみせるのに・・・」と悔しがったり、絵を描くためだけに生きた北斎はまさに「画狂老人」という言葉がふさわしい(笑) 作品はもちろんのこと、生き様がとても魅力的に思えました。
そんな魅力的な人物を一冊の本で理解できるわけもないですが、取っ掛かりの一冊としては100点満点だと思います。
日本映画最高の1本を挙げよと言われると、自分は迷うことなく新藤兼人(監督・脚本)の「竹山ひとり旅」を挙げる。 70年代後半という、だんだん時代がつまらなくなり始めたとき、忽然と全国巡回自主上映形態(「戦艦ポチョムキン・完全版」とのカップリング上映という信じられない組み合わせだったが)で登場した作品だったが、その出会いの新鮮な驚きは今でもハッキリ思い出せるぐらいだ。 さて本作は、その新藤が傑作「竹山」の余韻が覚め止まぬ80年代初頭に、「竹山」同様、日本の伝統・文化掘り起こしという側面に切り込みつつ、今度はメジャー松竹の資本力をバックに贅を凝らして作り上げた一大絵巻だった。両作とも芸(術)に対するある種の執念を描いており、個人的には姉妹編だと考えている。 何せそれまで30年以上に渡って独立プロ・近代映画協会で頑張ってきた氏の映画を、まさか当時、日本最大級の巨大スクリーンを備えていた洋画系ロードショー館・丸の内ピカデリーで見ることができるとは夢にも思っていなかったから、それだけでも一大事件だったのだ(しかも乙羽信子、殿山泰司という近代映協お馴染みの面々を巨大スクリーンで堪能できた!!)。 狭い試写会場で見る評論家先生たちとはワケが違うのだ。 というわけで、当時の見る前の期待ワクワク度と、見終わってからの充足感を思い起こせば、文句なく満点。従ってその後にTVや、このDVDなどで見られている方々とは同じ評価にはなりようはずがない。 現段階でこのDVDは未購入だが、いずれ購入する予定の邦画DVDの筆頭格だ。 (ついに安くなったので買ったよ。ほかの店で、でだが。悪しからず。かと思ったらもうレンタルで100円かよ。ふざけんなよ、このメーカー)
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