当時、限定販売だったため、現在では手に入りにくくプレミアム価格になってしまっています。 そもそもなぜ限定販売にしたのかわかりませんが、(MOVIE1のサントラは通常販売) ほとんどの購入者の目的が小出早織の歌うMOVIE2の主題歌、「ケータイ刑事」だと思われるだけに、 その一曲のためにプレミアム価格を支払う価値があるのかどうかは疑問です。
今、いろいろとルパンのサントラCDが出まくってますが、マニアでない者には短すぎるBGMに聞きたくもない音の多いこと。イージーリスニング感覚で、車のBGMに適度な長さで楽しみたい人は、元祖の『オリジナルサウンドトラック』のシリーズ(1,2,3)でしょう。このレコードは1978年終わりに出されたものです。TVシリーズ79年頃のサントラと言いながら、同時期の映画「ルパン三世 マモ-」のサントラとしても、使われてます。しかも、テレコム&宮崎ファンなら2.トルネイドは「荒野に散ったコンバットマグナム」、5.螺旋飛行は「死の翼アルバトロス」、6.黒い陰謀は「神様のくれた札束」、8.スーパー・ヒーローは「さらば愛しきルパンよ」などで効果的に使われてます。9.斬鉄剣なんかは、セカンドTVシリーズでは聞いた事がなく、後のTVスペシャル版のルパンで使われるようになりました。今度、「ルパン三世クロニクルBOX」(5枚)が出るようですが、そのうち3枚は、このシリーズが入ってます。しかし、昔のレコードジャケットで単品CDで楽しみたい方は、絶対お薦めです!
作品的にもセールス的にも、エレック〜コロムビア期のナイアガラ・レーベルを象徴する、と言ってよい快(怪)作であり、傑作。とにかく、〈売れない〉ことへのイライラが、とんでもない方向へのエネルギーとなり爆発している。音頭、歌謡曲、R&B、ロック……、何でもござれで、しかも替え歌まである始末。
しかし、さすがに演奏のクオリティは高いし、サウンド作りも丁寧。歌い手は何か分からないのばかり(ただし、〈a.k.a.〉を知れば…)。
このアルバム、一言で言えばとにかく〈何か分からない〉。しかし、そこが最高でもある。コンセプトはシュールながら、間口はそれほど狭くない。『A LONG VACATION』や『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』以降、大瀧詠一を知ったリスナーでも入りやすい。コミックソングの耳通りよさがノヴェルティ路線の理解を助け、CBS・ソニー期への過渡期(?)を思わせるリッチめのサウンドメイクもリスナーの困惑を薄める。なんといっても、全編こんな調子で流れるだけに、かえって開き直って聴ける。
もっとも間口の広さと相反するようなシュールなコンセプトが、〈入るのに勇気がいる店〉のごとく、人に聴かれないことに繋がっているのは事実。このコンセプト自体は今も早い、と思わせる。当時はさらに早すぎたであろうと思う。レコード店店頭であまり見ない。
このアルバムの凄いところは、〈売れてコレ(このテのユーモア)をやった、あるいは続けた〉わけではないこと。そして、デビューに近い新人がコレをやったわけでもないこと。この点、サザンオールスターズやオレンジレンジとは違う(しかし、リリース時には「勝手にシンドバッド」が売れていた。M-7「河原の石川五右衛門」が何とも哀しいが、これは1978年オリジナル盤には入っていない)。
しかも、次のオリジナル・アルバムが『A LONG VACATION』なのがさらに凄い。
個人読書履歴。歴史小説通算27作品目の読書完。1989/11/19
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