(ネタバレはありません) 待ってました!の狂乱最新刊(?)は…、短編読み切り3本に設定ラフ集、ペケさん描き下ろしのコミックに、ゲームまでついた、狂乱ファンならトンデモナク胸躍る一品です! DVD付きで1000円(税込み1050円)という値段もお手頃かと♪ ただ、「狂乱づくしの一冊」と書いてある割には本の約半ページ(230ページ中100ページほど)が狂乱ではない別の作品の読み切り短編だったり、文庫の紹介だったりしたのが残念。他の掲載作品にあまり興味のないわたしとしては、後半は読み飛ばしで、狂乱のすぺしゃる!と銘打ってる分、がっかりしました。著者ファミ通文庫編集部のFBSPですから「狂乱の本」と言うより、やっぱり「ファミ通文庫の本」なんですかね^^;狂乱ほど人気がある作品なら、嬉しい特典満載なんですから、単発でも充分売れるのでは?
ですがコミック・読み切り短編はどれもこれも面白かったです! それだけでも買う価値ありと思います。
乱崎凶華率いる乱崎家の面々が織り成す、馬鹿馬鹿しくも温かい「狂乱家族日記」も今回の番外9冊目でとうとう終わりとなります。
アニメDVDのおまけブックレットに収録されていた「ヴァネッサ=エルの純情」は私のようにDVDを買ってない者には有り難いし、FBOnlineに掲載された「賽も人生も投げられた!」と共にドタバタと騒がしい中にほのぼのとした家族の触れ合いがあったりして十分楽しめる内容でしたが、やはりこの本を読む最大の目的は、本編の最後の最後で赤ん坊として登場した、鳳火と凶華の子供・十周年(ディケイド)と他の狂乱家族の10年後を舞台にした「狂乱家族だった、僕たちへ」でしょう。 まあ何せ、ただでさえ凶華の子ですし(鳳火の影響は無視しても責められますまい?)、外見から考えても、凶華に似て尊大で、凶華に似て身勝手で、凶華に似て目的の為なら周りの迷惑を考えず行動する狂乱の申し子のような子供を想像してましたが、1ページ目からそのイメージは陥落。あまりに常識を外れた家族に育てられた反動で狂乱騒ぎを忌避し、平凡な小学生を目指す姿に、「まあそうなってもおかしくないかな」とあっさり納得してしまいます。 それでも他の人間と同じように、家族は選べませんし、生まれ持った宿命も同様で、特にあの子の場合はある意味世界の危機にも繋がりかねないわけで、そうした諸々にしっかり向き合う姿はやはり狂乱家族の一員だなと思いました。ちなみに乱崎家の面々以外のキャラクターの10年後も見られるのでその分お得ですし、更には狂乱家族の会話を描いたオマケ番外も収録されているのでこれまたお得と来ていますから買いですよ!
表紙の凶華は前巻で色々あって体が成長した姿で、壱さつめと比べるとその差は一目瞭然。無意味にに偉そうなポーズと言い、「ふははははははっ! 全宇宙の愚民共よ、天地開闢の昔より全知全能の神と定義され、今更に神秘的に、より美しくメタモルフォーゼを遂げた凶華様の御姿を勿体なくもとっくりと拝ませてやろう! 貴様らこの幸福に全身の水分で涙を流して平伏し、生涯は言うまでもなく、何万回輪廻の輪を潜ろうとも忘れることがないよう魂の芯まで記憶に刻みつけるが良い!!」なんてメッセージが聞こえてきそうですよ(汗)。
まあそんな冗談はさておき(苦笑)、狂乱家族日記もいよいよ地下帝国を舞台に最終決戦です。まあ実際は超常現象対策局本部ビルでの戦いから続くのですが、そちらはこのページの商品紹介などで書かれているあらすじにも書いてありますし、こちらでは敢えて割愛する方向で。
さて、最終決戦では乱崎家の面々が魔族のサポートこそ借りていますが、根本的には凶華や鳳火はもちろん、戦闘能力らしきものを持たない優歌までもが、それぞれにできることを最大限やり尽くして闇禍の計画に立ち向かう展開が繰り広げられ、まさに最終巻にふさわしいと言えましょう。クライマックスの展開にいささかドラゴンボールの影響が見られる感じがしますが、そこはこれまで作中に登場してきたキャラクターを出すための演出、王道と好意的に受け止めてます。 そんなわけで本編はこれで完結となりますが、その後の乱崎家を描いたエピローグも、ここで説明するのは野暮というものでしょうから詳しくは書きませんが、いささか常識外れなメンバーが多いとは言え、どこにでもありそうな、この作品の表現を借りれば、それこそ馬鹿馬鹿しくも温かい、そんな家族の形に落ち着きましたね。
このコストパフォーマンスは異常です。 まずアニメ化に関する情報はキャラ設定画から声優インタビューまで全部。 乱崎家全員カラーですよ。声優さんはモノクロページですけど。 実際のアニメシーンのカットも小さいですが幾つか入っており、 x6sukeさんのテイスト生きてるのを見られてホッと安心。アニメ見るの楽しみです。
それ以外にも日日日さん書き下ろし外伝3本、x6sukeさん描き下ろしコミック1本とイラスト。 ピコリー氏交えての“架空”座談会が10pと。今回の乱崎家内フィーチャーは優歌ですかね。 他の面々も初登場キャラも大活躍ですが。かなりブッ飛んでます、優歌ちゃんが。。。が?
また今回はアンソロ的に他の著者方々が狂乱の外伝短編を書き寄せてます。 たぶん、これは評価が分かれるでしょう。顔触れをご紹介。 ・田口仙年堂×日向悠二(吉永さん家のガーゴイル、ガーゴイルおるたなてぃぶ) ・佐々原史緒×カヅキレン(スイートホームスイート) ・櫂末高彰×甘福あまね(学校の階段) 純粋なアンソロではなく、各作品とのコラボネタと言った感じ。 それぞれの作品好きなら受け入れられるでしょう。私は他の作品を知りません。 で、まぁ微妙だけど悪くは無いかな、うん。 さらに純粋なアンソロ的4コママンガ描き寄せでは、 「まりも」「むらたたいち」「オカアサハ」「カヅキレン」という4方。
さらにオマケ的ですがキャラクター大図鑑として原作・外伝での登場キャラ紹介が挿絵付きで! さすがにここのイラストは既出の再録ですが、16p計47人というボリューム! こんな人もいたよ!つーか挿絵有ったのかよ!という再発見は中々楽しいです。
これで780円(税込819)はファンにはお買い得です。 外伝はいずれ番外編に収録されるでしょうが、コレにしか載らないコンテンツ考えたら 手を伸ばす価値有ると思われます。 座談会での日日日さんによる渡陰木さんラブ花山さんラブっぷりをぜひご堪能ください。
これは快作です。ジャンルとしてはちょっぴりSF色のあるギャグアニメ。しかも文字通り狂乱の。ストーリーは理論的かつ現実的に大いに破綻しているし、意味を成さない箇所も多いのですが、そんなことまでもダイナミックに表現しうるアニメというメディアの可能性の大きさをあらためて感じさせてくれるのが本編です。多少理不尽な展開などどうでもよくなるようなユニークさとパワーと、そして心温まる優しさがこの作品には宿っています。演出も硬軟の様々な要素を巧みに結びつけながら、おもちゃ箱をひっくり返したような小気味良い楽しさと一種洗練された斬新さを付与することに成功しています。
かつて世界を絶望のどん底に陥れた閻禍(エンカ)なる怪物の因子を現代に受け継ぐとされる者たち。人間、ライオン、生物兵器、そして自らを神と名乗る不思議で騒がしい少女に海洋生物(?)らがその面々。それまで互いを全く知らなかった者同士が国家プロジェクトの名のもと半ば強制的に家族として暮らし始めることに。(ここからしてすでに原作自体が突拍子も無い!狂乱している!)はたしてこの「なごやか家族計画」の真の目的とは?
個性豊かな面々から成る家庭の中心的存在は自らを神と称し母親役を演じる凶華。この騒がしくもどこか憎めない少女は常に騒動を起こし、毎日が狂乱のお祭騒ぎ。でも次第に寄せ集めの家族のメンバー一人ひとりの目にそれまでは無かった生気がみなぎっていきます。実は皆、悲しい過去を背負い、それまで孤独と絶望に打ちひしがれ生きてきた存在。最初はあくまでも「家族ごっこ」をしているつもりだった彼らは一つ屋根の下で暮らすうちに段々とお互いに心を許し合い、共に困難を乗り越え、抱きしめ合いながら本当の家族になってゆく・・・。生い立ちの違い、立場の違い、そして種族の違いさえも乗り越えて愛し合う“家族”の姿には素直に感動させられます。そこには相手をその見かけや生い立ちあるいは能力から判断し付き合う態度ではなく、ありのままの相手の存在そのものを愛おしいと思う、つまらない枠を取っ払った心の真実があります。
「もう一人じゃない。だから迷わない。共に笑い共に泣いてくれる大好きな家族がいるから・・・。」
ギャグに微笑みをもらい、ポジティブ思考の狂乱に力をもらい、慈しみ合う家族の姿に清々しい涙をもらう、はちゃめちゃに愛おしい作品。それがこの『狂乱家族日記』。
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