後半の演奏はちょっと...という感じですが、ビックバンドでの独 りよがりの演奏と違い、各ソロとベースラインが見事にかみ合ってい ます。#ある意味ジャコらしくない??? ザ・チキンのベースラインは今まで聞いた中で一番気に入っています。 ドナ・リーでのボブ・ミンツァーのバスクラは素晴らしい!
1975年、9・10・12月ニューヨークで録音。 世にジャコ・パストリアスが降臨した最初のアルバム。 1曲目の『ドナ・リー』からぶっ飛ぶ。チャーリー・パーカーのオリジナルのこの曲で完全にエレクトリック・ベースの概念を打ち破ってしまっている。 ロング・トーンとフレットレスの特徴を生かし切った語調、そして変幻自在のハーモニックス。『鳥』のようなベースだ。 むき出しの才能がこれほどスバ抜けたミュージシャンを他に思いつかない。それ故か、デビュー・アルバムにしてメンバーは驚異的に豪華で、ハービー・ハンコック、マイケル・ブレッカー・・・・そしてロサンゼルス交響楽団まで参加している。才能は才能を知るということだ。 1991年刊、『The Life And Times Of Jaco Pastorius(邦題 ジャコ・パストリアスの肖像)』の第7章の『ジャコの思い出』で語るミュージシャンたちのジャコについて語るくだりがそれを如実に示している。特に、ジェフ・バーリンが無理やり彼の音楽を聴かないようにしたり、フレットレス・ベースを捨てるくだりなどは、このアルバム以降のジャコの音楽のオリジナリティ溢れる吸引力と影響力に、多くのベーシストは自らのサウンドのバランスを保ち切れないほどの力を感じたあらわれだ。 その力を知るべし。
この作品は、アルバート・マンゲルスドルフ(tb)がジャコ・パストリアス(b)とアルフォンス・ムザーン(ds)を招いてトリオを編成し、1976年のベルリン・ジャズ祭に出演した時の演奏を収録したものです。LPおよびCDでは幾度か発売されていますが、映像が残っていたことは驚きです。
フリージャズに傾倒してからのマンゲルスドルフは、トロンボーンという楽器の音響特性を活かしたフレージングをより深く追求するようになり、伝統的な旋律に囚われないスタイルでの演奏を意図してか、他の旋律楽器を加えずベースとドラムだけというトリオ編成に幾度も挑戦しています。エルビン・ジョーンズ(ds)、パレ・ダニエルソン(b)と録音した”The Wide Point”(1974年)が、1つの原点になっていると思われます。
マンゲルスドルフと共演した数多くのミュージシャンの中でもジャコは異色の分類に入ると思われますが、このイベントをプロデュースしたジャズ評論家ヨアヒム・E・ベーレントによると、当初想定していたベーシスト候補がことごとく都合が付かず、ウェザーリポートに加入したばかりで当時まだ知名度もそれほどでもなかったジャコは、実は苦し紛れの選択肢だったそうです。エレクトリック・ベースということでマンゲルスドルフが難色を示すのではというのも躊躇した一因でしたが、恐る恐るジャコのテープを聴いてもらったところ好反応だったので一安心、ところがジャコが「自分は行きたいが、バンドを離れてベルリンに行くことをジョー(・ザヴィヌル)が認めないと思う」と煮え切らない態度のため、ベーレントが「私の名前をジョーに伝えろ。(オーストリア人の)彼にアメリカへ行けと背中を押したのはこの私なんだから」と説得し、ぎりぎりのタイミングで確定したとのことです。収録曲の1つであるAccidental Meetingというタイトルには、こうした事情が込められているようです。
曲の多くは(ジャコのソロPortrait of Tracy等を除き)、まずマンゲルスドルフが出すイントロに他の2人が追従し、そこから次第に自由に展開していくというスタイルを取っています。最小編成ゆえ「間」が必然的に生じるのを恐れず、各自がそれぞれ即興性の強いフレーズを断続的にぶつけ合っていく様子が非常にスリリングです。この日のために用意された曲の他、リー・コニッツやアッティラ・ゾラー等と録音した”Zo-Ko-Ma”(1968年)に収録のZores Moresや、”Solo Now”(1976年)でソロ演奏を披露したAunt Steps on an Elephant's Toe等をこのトリオでの新解釈で披露しているのも興味深いところです(Foreign Funも、たぶんNever Let It Endのリメイクではないかと思われます)。
ウェザーリポートのような演奏を期待すると少し違うと思われるかもしれませんが、70年代半ば、独自のフリージャズが発展し続けていたドイツと、フュージョン/クロスオーバーが1つのピークに達しつつあったアメリカの、それぞれ異なる同時代音楽が刺激し合う演奏が生まれたことは、その経緯がaccidentalであったため、なおさら奇跡的と感じられます。
このDVDパッケージがジャコのリーダー作であるかのようなデザインになっているのは正直いかがなものかと思いますが(LPおよびCDではマンゲルスドルフの名前が筆頭になっています)、それで内容の素晴らしさが損ねられる訳ではないですし、既に両名とも鬼籍に入っているので、大目に見たいと思います。
初めてジャコの本を買いましたが、これほど素晴らしい音楽家にして、また愛すべき人間性を持っていた人物であったことが分り、感動を新たにしました。また著者が人との出会いを大切にし、心の友として書き綴っている様子が伝わり、その点にもいろいろと教えられました。貴重な写真も多く(それは著者自身のものがほとんどでしたが)、私にもいい出会いの本となりました。
JACOのこれほどまでに完璧なTAB譜は今まで見たことないです。ライブ
映像などの運指と同じだ。当たり前か。JACOを完コピしたけりゃ間違い
なく買いです。
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