複数の思惑が錯綜し構図が捉えにくいところも含めて、上手い構成だと思う。
中では「不名誉な先陣」を切るアリスとバートン卿の会話が鋭い。 英雄を「正義の味方」と呼ぶならば、彼らが味方する正義とは誰の事なのか。 彼らが救う、無名の民衆をこそ「正義」とする不文律がそこにはある。
しかし今の時勢、市民は正義なのかどうか、俺には分からない。
体制や国家や利権者など、大きくて強いものを明確な敵として団結する時代ではなくなった。 他人と概ね同じで少ししか違わないことを“個性”と呼んでいる向きも感じる。 大きな敵を共有できなくなり、一方で価値観の主流は何らかの“正”と“負”で物事を二分する旧来以前のまま。 相容れないグループで世界を二色に塗りつぶしているままでは、市民が市民の敵になる状況も起こりうるのではないか。
自分が考える正義を掲げれば、必ず誰かの正義とぶつかる。
自分の正義が批判されることもあるだろうし、 場合によっては誰かの正義を侵してしまうこともあるだろう。
だから正義を掲げる人は、衆目に晒したその独善と傲慢を引き受ける覚悟を持たなければならない。 踏んで踏まれることを承知で、譲れない旗を掲げる必要がある。
まとまらない感情があって長々と書いてしまった。 この作者はどんな回答を示すのか、連載継続に少しの不安はあるが、次巻が楽しみ。
今回はあまり話が進んでないかなf(^_^; 幾つかの新情報と新キャラ紹介といったところでしょうか? ラインベルカ少佐より強烈な容貌のケルビム中佐に剣は強いが興奮すると暴走するハーケンマイヤー、天才セッティエーム姫の、愛すべき(?)おバカ姉姫カトリエール…彼らがどんな活躍を次巻で見せてくれるか楽しみです。 画が少し粗いので☆4とさせていただきます。
いままで謎めいていたカウプラン、インビジブルナインなどの説明が この巻でしっかり書かれています。 読んで理解するのに時間を要してしまいますが、おもしろいです。 ただ、やはり絵は以前(舞踏会やユーゼフあたりまで)のほうが綺麗で好きだったです。 でも次巻が待ち遠しいです。
岩永亮太郎原作・月刊少年マガジン連載の 「パンプキン・シザーズ」TVアニメの第16〜18話までを収録したDVD6巻です。 水道局を舞台にした事件は帝国内部の戦いに発展し、事態を困惑の渦に巻き込んでいきます。
Episode:16「斬り裂きし者」★★★☆☆ 水道局の制圧に乗り出した各部隊を巻き込み動乱の戦いが幕を開けます。 今回の見物はなんといっても同胞すら敵とみなす第1部隊に 一人で挑むアリス少尉の殺陣場面です。肩から取り出すは2メートル級の両刃の大剣! マルヴィン家次期当主「斬り裂きし者」の異名を明かし、豪快な武器を振り回し 挑む様がなんとも熱く痺れます。
Episode:17「なお救われぬ闇たち」★★★★☆ 第14話から続く帝国軍内部闘争の完結編です。1課へ乗り込む課長の静かなる威圧感、 「斬り裂きし者」起死回生の逆転一撃が唸ります。901ATTオーランドvs908HTTハンスの 死闘が壮絶で、今まで以上に人間規格外の恐ろしさが滲み出ており目が離せません。 3課の存在が完全に道化として終わってしまうなんともしこりの残る物語です。 Episode:18「小さな戦力」★★☆☆☆ ステッキンを中心に構え、陸上3課の憂鬱と再出発を描いた繋ぎの物語です。 前回から落ち込んだままの3課のため、孤立暴走し続ける彼女のてんてこ舞いぶりに苦笑い。 しかし、彼女が3課に来た理由と、難民達の新たな旅立ちに重ねて描かれる微力でも 結果を出し続けることの大切さが胸に響きます。
岩永亮太郎原作・月刊少年マガジン連載の 「パンプキン・シザーズ」TVアニメの第13〜15話までを収録したDVD5巻です。 新たな「不可視の9番」の存在が現れ、事態は混迷の色合いを強めていきます。
Episode:13「粗野にして美味」★★★★☆ 隣国ローデリアの姫セッティームがお忍びで帝国を訪れるエピソードです。 謀略の世界で生きてきた彼女が偶然出会ったマーチスとの一悶着の中、 人としての情けを知り人間らしく成長する様がなんとも心晴れやかな気分にさせてくれます。 ちょっと勝気なアリス少尉にも似た、幼い姫様のツンデレぶりに萌えましょう。
Episode:14「焔、いまだ消えず」★★★☆☆ 地下水道各所の難民誘導から始まる水道局員達の堕落を強調した物語です。 人の弱みに付け込む彼らの陰湿さも相まって、保釈金で釈放されようが、 何度も彼らを追い詰め不正を打ち砕く陸情3課のたくましさは見応え充分。 徐々に過去の殺戮兵器としての自分が体を蝕み始めるオーランド伍長の動揺が 次回への緊張感を煽ります。
Episode:15「迷走する選択」★★★★☆ ついに接触する901ATTと908HTTの二人。地下を燃やし尽くす程の火力が圧倒的です。 彼らの全容は部分的にしか語られず、謎が謎を呼ぶ展開に疑念は尽きません。 また、難民の根本的な解決のため、3課の二人が体を張って一芝居打つ場面は 人情味溢れる優しさに安心感を覚えます。今回は特に戦災の傷跡が加害者にも 被害者にも及んでいる様を描き、帝国の腐敗の輪郭を際立たせている点に要注目です。
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