この人の演奏。大好きです。とにかく元気がいいというか歯切れがいいというのか,演奏に熱を感じます。英雄ポロネーズなど圧巻。北京ライブも欲しくなりました。
最初に結論を書くと、私個人の感想としてこのCDはYundi Liのデビュー盤としてだけでなく、ピアノ演奏における一種の傑作として扱われるべきであると思う。あくまで私の意見だがまず購入して損をするという事はないであろうと思われる。
Yundi Liの世間に開かれた演奏家としての原点というべきこのアルバムは、デビュー時点でクリスティアン・ツィマーマンを彷彿とさせる―もちろん及ばない点は当然のように存在するが―素晴らしい完成度を誇っており、洗練された解釈、ガラス細工のような音の響き、そして卓越したテクニックを味わう事が出来る。
ピアノソナタ第3番はまず第1楽章の旋律の構成が素晴らしい。主旋律を当然のように響かせるその卓越したテクニックはもちろんの事、一音一音が全て彼の洗練された解釈に基づいて全く無駄の無い美しい響きを作り出している。私は高音部を響かせる為のルバート、そしてアルペジオのタイミングの解釈が特に素晴らしいと感じた。 第4楽章は最初から最後まで求心力を保ったまま実にそつなく美しく纏めている。かなりの美しい旋律を聞かせてくれるが、それをテクニックを前面に出さず音楽性に還元するのはさすがだと感じた。
練習曲「木枯らし」はかなりの高速で弾きこなすが、それが決して音楽性の欠如を示しているのではない。序盤の2つの旋律をバランスよく弾きこなし、全体として完成された音楽像として作品を完成させている。Yundi Liのテクニックは確かに卓越しているが、彼のピアニストとしての資質はテクニックではなく、むしろ彼自身の音楽性にあると思う。テクニックが自身の音楽性を支えている良い例であると思う。全体で全くその音楽解釈が途切れる所が無いかなりの名演である。
Yundi Liは淡泊で機械的などという人も居るが、私は全くそうは思わない。それが顕著に表れているのが多分「木枯らし」であると思う。あの曲をYundi Liと同じような速度で「機械的」に弾いたらどの様な演奏になるだろうか。少なくとも私はそのような胃のもたれそうな演奏は聴きたくない。彼のテクニック性は彼自身の魅力ではなく、それによって支えられている素晴らしい音楽解釈だと私は思う。少なくともYundi Liの演奏において彼のテクニックは演奏、音楽性を左右する重要なファクターでは全く無い様に感じられる。
もちろん、クリスティアン・ツィマーマンやマルタ・アルゲリッチなどと比べると低音部の響きなどまだ改善すべき事はあるが、それも含めて現在持ち合わせるピアニストとして卓越した音楽性など今から成長していくのが楽しみなピアニストの一人だと私個人としては思う。
今日買ったばかりですが、ずっと聴きまくっています。 ダイジェスト版的アルバムのようですが、私は今まで発売されたCDを聴いたことがなかったので彼の演奏がとても新鮮に感じました。 特にアンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズはお薦めです。 テクニックは勿論凄いけど嫌味を感じさせないし、聴き手をググっと惹きつけてくれます。 彼の弾くこの曲は何度も何度も聴きたくなってしまいます。他の曲も素晴らしい演奏でした。 ずっとずっと聴いていても飽きない一枚だと思います!
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