「サマー・ウォーズ」コミカライズで知った作家である。「ライバル」「勝負」「美少女」−少年まんがの王道である。ひとつ違うのは競技としてのクイズを題材にしたことだ。テレビで高難度のクイズ番組がもてはやされる時代である。そして二番煎じは大変難しいだろう。さすが、有卦に入った作家である。画力も十分。
待ちかねた第5巻はまるごと「勝負」。定石を駆使して正攻法で描かれているだけに、安心して楽しんだ。しかし作品としての「勝負」はこれからだと思う。勝負の連続では飽きられる。どこへ行こうとしているのか、まだ私にはわからない。
クイズを究めることは一生かけても難しいかもしれません。それだけ無限の問題が存在します。しかし、知識量だけが勝負ではありません。連想力を働かせて問題に立ち向かう彼らの姿に胸が熱くなりました。今巻では例会が開始されます。主催は麻ヶ丘女子高校ですが、「難問じゃなくてもルールひとつで競技の難易度は様変わりする」という問題作成者側の面白さも伝わりました。オリジナリティ溢れる問題やルールに改めてクイズの楽しさを感じました。
「マイナーな題材を扱った部活系マンガ」が食傷しそうなほど市場に溢れている昨今ですが、本作は中でも質の良い作品に挙げて良いのではないでしょうか。 メインキャラクター達の人物設定、主人公がその世界に足を踏み入れるまでの導入、ともに競い合う仲間との出会い、そして読者に分かりやすく提示される競技の面白さの一端。 それらを描くにあたって演出の過不足がほとんど無く、かなり「洗練されている」のがよく分かります。 良い意味で、「このジャンルの1つの典型」と言って良いレベルですね。
ただし悪く言えば、それは「独創性の薄さ」でもあるわけで。 「競技クイズ」という題材の面白さ、そして画力の高さを考慮しても満点評価は躊躇われます。
というわけで、私からの評価は☆4つ。
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