東郷先生のげい暦は並々ならぬ。 純な魂と努力と友人の支えにより、かくも黄金郷(エルカンターレ)に辿り着いたことがわかります。 あの聖路加病院の先生も昂然となった読後感。 センチメンタルで奥ゆかしい文章で、絶品の誉れ。 東郷先生にはつつがなく生きながらえて欲しい。 本書は星と万人に齎された白雲の城だ。
72年作。東郷健など同性愛者・ゲイが集まり、昭和の偉大な詩人・寺山修司の監修のもと、ロック、演歌、朗読劇など様々な音楽を繰り広げる作品。あまりにも濃すぎて、いろんな意味で圧倒される。政治的なものから、哲学的・文学的なもの、オゲレツで下世話なものまで、ごちゃ混ぜ、雑然とした内容だが、異様なエネルギーの奔流に鳥肌が立つ。社会・権力・常識・倫理を根底からひっくり返す力を感じさせる、異端者たちの叫び。抑圧された者たちの勇敢な叫びを前に、胸の高鳴りを抑えられなくなる。 「薔薇の刺青」は民謡調のわびしげな歌から、ハードなロックへ発展し、情念が爆発する。ドラマチック!帆柱に薔薇の刺青をした男。地が裂け、町が崩れる…妙な迫力に満ちたラストは圧巻。「転落詩集」語り口は軽妙だが暗い怨念漂う演歌。「天国と地獄」オッフェンバックの名曲に乗せゲイの皆さんがハイテンションに大合唱。「青少年のための男色入門」は同性愛の相手を募集するいかがわしい詩と、童謡風の歌メロ・ボーイソプラノの愛らしい声とのギャップが何とも背徳的。「男娼巡礼歌」は男色家の悲哀・孤独を歌う、演歌・民謡調の憂いに満ちた曲。間奏での短歌と語りも良い味出してる。「聖なるジャック」は合唱し大騒ぎ。最高にお下品。「どろぼうたちのキリスト」は行き場のない男色家の、教会での懺悔。「きびくぶのぼごぼもぼんば」は天皇家の象徴である菊の御紋と排泄器官をダブらせて冒涜する、過激な曲。疾走感あるロック、ノリのいい歌に、絶妙の合いの手。「健さん愛してる」は落ちぶれたムード、切ない。「性解放宣言」は悲壮感漂うオルガンロックに、殺気立った語りと叫びが乗る。血生臭く破壊的だが、どこまでも力強い。「君は答えよ」は高揚感抜群、煽り立てるようなオルガンロックに乗せ、JAシーザーの泥臭い歌声が轟く。最後は畳み掛けるようにして東郷健が激烈なメッセージを突きつけ叫ぶ…しびれます!
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