全体のまとまりがあって良いアルバムです。 捨て曲がありません。
音楽的な用語はわからないので、印象だけ。 わくわくする出だしで始まる「インク」。 「ピアノブラック」は宇宙的な音が耳に心地よい。 「あバンギャルど」はどこか懐かしく、歌詞は血みどろですが、とても楽しいです。 「ライフ・イズ・ビューティフル」はサビががなり系で、 はじめは「あれ?」と思いましたが、今は逆に耳に残って仕方ありません。 そして一番わたしが好きなのは「君はカナリヤ」。昔のプラっぽい印象です。 綺麗で美しい世界が広がって、エンドレスリピートしてしまいます。 このアルバム唯一のケンケン作詞曲。 くるりくるりとした世界に引きこまれてしまう「てふてふ」、胸に迫る切なさがあります。 「218小節、かくも長き不在。」は不思議な緊張感をもったインスト曲。 最初と最後が声とアコギだけのシンプルな曲「ロールシャッハ」、優しくて好きです。
是非聴いてみてほしいアルバムです。
豪華絢爛な館も書き割りみたいな脇役たちもシュールなストーリーも素晴らしいんだが、 いかんせん主役のオッサンが大地康雄みたいでイマイチ感情移入できなかった。 もう少しすっきりした二枚目をもってきてればまた違った印象だったのかもしれないが、 これでは気色悪いストーカーにしか見えない。そこだけが残念だった。
洋館の中で繰り返される上流社会の饗宴、無表情の男女。 しかしある人から一方的に語られる二人の思い出が、 だんだん、本当に思えてくる…
女(デルフィーヌ・セイリグ)が纏う衣装は美しく、 モノクロで映し出される洋館にしても、 レトロな雰囲気が好きな方は好むと思います。 ひとつの絵画のような映画と思います。
自分のお勧めはこの映画の音楽。 まずタイトルでは、わざと前時代の映画風なオーケストラが流れ、 主人公が閉じ込められている社会を象徴しているように思えます。
それから始まるパイプオルガンの音楽が この映画の最大の立役者(!?)。 不思議な音階を奏でながら全体を包み、 確実に主人公を「逃避」へと進めていきます。 この映画の音楽担当:フランシス・セイリグは メシアンの弟子だったそうです。
自分はBSで放映された際、 特に音楽が気に入り、この映画が好きになりました。 オルガン音楽の中で、唯一旋律らしい旋律のある 短調のワルツも好きです。
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