TVKのライブからで当時観た映像もあって凄く懐かしいけれど、ちょっとどうかと思う編集とやはり収録時間が物足りない。
以下雑感
RCサクセションは「雨上がりの夜空に」シングルを出したばっかりとのMCがあるとおり皆凄く若い。 未だこのスタイルがこなれていなくて、ファッションも微妙にダサいし、サポートギターの小川銀二もちょっとスタイル的に違和感有。 この違和感は当時も確かにあった気がする。何か全面的に肯定すると自分の趣味を疑われそうなね。 だけれども演奏はリズム隊もしっかりしていてチャボのカッティングギターもカッコイイ。 キヨシローの歌もほぼ変わらずに変なダンスをしながらオーティス・レディング張りの泣き節でシャウトしているけれど、間奏からの歌入りのタイミングを珍しく間違えてしまっている。
ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギバンドは「ファイティング」が入っているので後期のチョッと過激になった次期のステージで、まあ「過激」さはあまり出てこないけれど、熟しきったステージを観せてくれる。 片手間でも演奏できちゃうくらいに余裕があるので、ステージアクションがかなりオーバーなのとやっぱ黒いツナギというか特攻服みたいな格好でキメテ全員グラサンかけてる異常な感じは懐かしい。特に鬼才千野秀一の変態っぽさや和田静男の不良っぽさはこの当時のDTFBWBの良い部分だと思うが、それでいながらもあくまで曲は叙情的で昭和の日本を感じさせるところが宇崎っぽくて、なんとも言いがたい魅力だ。
アナーキーはかなり初期で国鉄の作業服(ナッパ服)時代。 ロンドンパンクがファッショナブルなのに対して、音楽性は酷似していながら、こっちは汚らしくってカッコイイ。 「団地のおばさん」を披露してる。 仲野茂はまあちょっと近寄りたくない感じのヤバさ(とはいっても凄く若いので、未だカワイイ)を醸し出していて、凄く良いが、仲野茂以外のメンバーはシューゲイザーと化していてほとんど動かない。
スペクトラムもスゴイ。 なんと言って良いのか、たぶん衣装から音楽性からEW&Fを意識しているのはわからなくは無いのだが、妙に長髪でタレサンかけた東洋人がファルセットで歌ってることからして黒人っぽさは全く無いので、凄く異常な変態っぽさが満ち溢れている。 ルイス・ジョンソン張りのチョッパーベースソロのバックでホーン隊がホーンをくるくる回しながら振りを披露するのだが、本来ならエンターテイメント精神に溢れる場面も、逆にちょっとサーカスの見世物っぽい感じで観てはいけないものを観てしまった感じだ。
シーナ&ザロケッツは細野晴臣のプロデュースした「ユー・メイ・ドリーム」を披露しているが、これもまたすごい曲だ。 思いっきりフィルスペクター調の作品を大滝詠一ではなくて細野晴臣がプロデュースしたことも今となっては味わい深いが、この曲ワンコーラスに3つくらいの曲を強引に組み合わせた継ぎ接ぎ感があって、ライブだと更に物凄く違和感がある。シーナの舌っ足らずの歌い方もキョーレツだ。
PLASTICSが一番カッコ良かったというか、今観ても恥ずかしさは逆にあまり感じさせず、ファッションから音楽センスから80'sの感じを端的に現していて、当時からワールドワイドなアプローチを視野に入れていたことがこのライブを観ただけでも理解できた。
他のバンドは思い入れないんで割愛
あの頃(32年位前かな)にタイムスリップしたようでなつかしくなりました。 なかでも、ブルーグレーロマンスとBalladは、めちゃくちゃ久し振りに聴いたので 鳥肌ものの感動と涙でした。DTBWBサイコーっす。
はっきり言って、現在から見れば、衣装や言葉遣いなんかは古臭いのかもしれないが、音が実に素晴らしい。名曲「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」なんかは、ベースが唸っています。バックリフは単純なんだけど、はっきり言って技量の必要なカッティングだと思いますね。
「ダウン・タウンならず者懺悔」なんかは、最高のブルーズ・アクションですな。
ツナギにリーゼントにレイバンのグラサン… 定番の不良ファッションを意図的に計算してプロデュースしながらもしたたかさを持ったバンド。今や多方面で活躍する宇崎竜童をみれば察しがつくでしょう。 この「ヴィンテージ」聴き通してみて感心したり感動したり…多くの発見があり久々にドキドキさせられてしまった。
阿木耀子のインパクトの強い歌詞がなんといってもこのダウンタウンブギウギバンドの代名詞といっても良いのだろうがその楽曲を聴きこんでいくうちに次第にこのバンドの達者な演奏力に耳を奪われていくのです。うまいと言っては失礼で、渋い演奏というべきであろうか。
ブルースと昭和歌謡をうまくとり混ぜた、”和”を感じさせる音づくりは簡単ではないはずだ。ひなびた銭湯でBGMに”夜霧のブルース”なんかかかってたら泣くな、たぶん。 ”一番星ブルース”なんて映画トラック野郎の挿入歌でもあるし、さすらう気分にはピッタリだね。 有名曲ももちろん良いのだが”涙のシークレットラブ”なんか一人でおセンチモードに浸るには最高だね。 ”カッコマンブギ””買物ブギ””トラックドライビンブギ”などブギースタイルの曲はギャク路線で楽しい。奥田民生のユニコーンってバンドがこの辺りの楽曲にモロ影響受けているのも聴いているとよくわかるのです。
クラプトンなぞ聴いて”ブルースの教科書〜”みたいにありがたがって聴くのも良いのだろうけど、このダウンタウンブギウギバンドは日本人が持つブルースフィーリングをうまく表現した、その名に恥じないバンドだと改めて思うのでした。
あとボーナス曲で”網走番街地”という曲がありますが、これは実にカッコいい。ジェフベックグループのsituationという曲をモチーフにしているそうでファンキーでジャジーで改めて演奏力の渋さに感心させられたのでした。
宇崎竜童による1曲1曲についての解説や在籍メンバーの各メッセージなど、ブックレットにもエピソードなど情報満載で満足の一枚です。 昭和の1970年代って今の日本と比較して考えると、はっきり言えることは、ちょっぴり馬鹿だけど熱い時代だったんだね。
4つ星つけながらも云わせてもらえば、FIGHTING 80'sには膨大な映像がある筈なのに、何故この時のTAKEが選ばれたのだろう?BANDのテンションはこの時期、正しく猛然とROCK!していてご機嫌なのだが、演奏内容には正直ムラがあった。しかし、最高の時は本当に最高にカッコよかった!せっかく音も良くしてDVD化するんなら、もっとこだわって作って欲しい。解体宣言時のこの番組での演奏は、<海賊盤>発売日の野音と並んで、DTFBWB時代の歴史的名演のひとつだと思うし・・・。難しいでしょうが、奇跡のVOL,2を期待したい。
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