これは、かつてBISから出ていた録音をセットにしてブリリアントという廉価盤レーベルがライセンスを取って再発したもので、録音も演奏も悪いはずもない。(ただ、BIS盤で各CDのジャケットに使われていた透明感のある美しい花の写真が今回は使われていないのが残念。)
アルヴェーン (1872-1960) はスウェーデンの作曲家で、メランコリックな情緒纏綿たるいかにも後期ロマン派といった作風である。ただ、水彩画家でもあったせいか、濃厚であっても透明感がありしっとりとした情緒といった感じがする。
日本でも知られているのは、『きょうの料理』のテーマのネタもと(?)のような「夏至の徹夜祭(スウェーデン狂詩曲第1番)」くらいだろうが、全3曲の「スウェーデン狂詩曲」はどれも素晴らしい。
交響曲も同様で、1番も2番もしっとりと始まるロマンティックな傾向の作品である。華々しく始まり少々異なる雰囲気の第3番は、もっと前のスウェーデンの先達ベルワルドを思わせる(と言ってわからなければメンデルスゾーンを思わせる)。第4番「遠き岩礁から」は、同ディスク収録の交響詩「岩礁の伝説」と関連があり、ヴォカリーズも含む濃厚なロマンティシズム(エロティシズム?)あふれる単一楽章作品。第5番は第1楽章のみ演奏されることもあるが、ここでは4楽章版が収録されている。ただ、どの作品も、同時代のシベリウスやニールセンと比較すると少々時代遅れな感じがしないでもない。
他、 『放蕩息子』組曲、「山の王」、「エレジー」(『グスタフ2世アドルフ』から)、“Drapa”, “Andante religioso”を収録。
グリーグ、シベリウス、ニールセン、ベルワルドらをひととおり聴いてしまった北欧音楽好きには良いかもしれないが、その4人に比べると少々単調な気もするので、一気に聴くと少々飽きるかもしれない。
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