もともと、昔の本を読むにあたって宗教知識ってのは欠かせないなぁとは思っていて、タイトルだけで読んでみたです。今東光ってヒトの存在も薄々は知ってたけど具体的には知らなかったし。そういう人間にとっては、「自己弁護のツールとして『仏教』を得たけったいなおっさん」と見えてしまうです。講話をテキスト化したものなんだけど、こーいう方の話ってのは実際聴かないとおもしろさは分からないだろうし、人柄や口調を知ってる上で読むならいいんだろうけど、初見のヒトにはさほどの魅力を感じないんじゃないかと。つか感じなかった。今氏の責任じゃないだろうなとは思うけど。 断片的な知識は得られても、文庫本一冊で気楽に仏教を知ろうというのが虫がいいわな。
『殺しの烙印』や『けんかえれじい』だけじゃない!。本作もまた、日活期の清順大傑作だ!。
とはいえ… 観ると始めのうち時代を感じる。当時の風俗をテーマに置いているので(あたりまえだが)時代の変遷が目に付く。 それはファッションや風景だけではない。男女同権などの考え方も含めてのことだ。 (男女機会均等など遠い未来の話だった時代なのだ) おそらく…本作の制作陣は当時そんなことには興味すらなかった、ように思える。(その古さは本作の明らかな欠点だ) だが、本作の主人公はそんな古さに負けない力がある。映画がすすむにつれ私は主人公の魅力に参ってしまった。本作は古い価値観の時代の中(まさに)体一つで踏ん張るパワフルな女性の物語。
だから…本作はあまり暗くならない。主人公は次々と(結構ドロドロとした)不幸に見舞われている…はずなのに本作の印象は明るくポジティブなのだ。(あのイカしたラストカットを観てほしい) 主人公が力強くチャーミングだからか?感情や暗さを突き放したようなスピード感ある演出の力か?。 不思議な感触をだと思う。ポンポンとドラマがすすみ、そのドラマのテンポの良さが映画全体のライブ感(?)を加速させる。…が、ドラマがおろそかにされているわけではない。‘信用金庫のおっちゃんとの別れ’や‘芸術家高野とのかかわり’などの魅力的な部分もキチンと表現されている。演出のさじ加減というか、バランス感覚が素晴らしい。そして明るくパワフル。
同時に、本作は紛れもなく清順の映画でもある。各所にちりばめられた清順ならではの映像感覚が楽しい。しかも…思ったより濃く表現される。 映像面について…色彩に多くを語らせる清順作品だが、本作は白黒である。でも問題ない。…というよりむしろ雄弁に色彩(?)語っている。白黒もまた色彩だ。白黒にはそれに応じた色彩の表現があるのだ。(あの『殺しの烙印』をカラーで観たい人はいないだろう。それと同じといえる。)
実は本作…私は今回が初見だった。 日活時代の傑作といえばどうしても『殺しの烙印』とか『けんかえれじい』『刺青一代』『野獣の青春』とかになるわけで、野川由美子三部作『肉体の門』『春婦伝』と本作は後回しにしていた(『肉体の門』は一応昔に観ていたが、他は未見だった)。 だが、しくじった。もっと早く観ておけばよかった。本作の魅力には降参だ。 本作はまるで女性版『けんかえれじい』とでも言うような痛快さと、パワフルでどこか幽玄な(つまり清順美学的な)映像感覚が共存している。これは凄いこと。思えば、本作の公開は1966年。『刺青一代』と『東京流れ者』に挟まれ、同じ年に『けんかえれじい』も公開されている。この時期は(本当の)清順黄金期なのだ。ストライクど真ん中なのだ。つまらないわけがない。上記のような欠点を持ってはいるが、それでも★5つは譲れない。 清順ファンで未見の方(←この間までの私)強くお勧めします。
さて、 ソフトとしては、画質は安定しているが可もなく不可もないレベル。日活ソフト標準の作品データやフォト、予告編等が入っている。ジャケットデザインはイマイチだな、とか思ったが…映画を観終わると‘コレで決まりだ’と思うほどピッタリに思える。 (この映画の野川由美子…美人でカッコよいなぁ)
『肉体の門』の廉価再発売も近い(←楽しみ!)し、こうなってくると『春婦伝』や『悪太郎(第二部に脇だが野川由美子が出演している)』などの他の‘清順+野川作品’を観たくなる。 今後のソフト展開、期待しています。
勝氏の素晴らしさは言わずもがな、田宮二郎の八尾の朝吉最高です。今、ダンデイな2枚目でこんな演技出来る人いないですね。
まさしく毒舌である。しかし、本質を突いており、本当の知性とは何たるか、を知るには大変によろしいものである。
こんな爺さんが今の時代には必要ではないか?若者もそうだが、悩める中高年にはもっともっと爺さんの辻説法が必要ではなかろうか。
ちなみに、私が驚かされるのは、今和尚が自ら筆を手にして書いたのではなく、編集者がピックアップしたはがきに対する返答をその場で回答していたということ。編集者は速記で今和尚のご回答をしたためられたとか。
当意即妙とは、まさに今和尚が実践されしことであることを知り、凄まじき人物と思いました。
こんな爺さんがいたら一緒に遊郭で遊びたいものですなぁ。
金は俺が出すから。
和尚の深遠な学識と独特の文体で、読む側を決してあきさせません。
歴史好きには勿論お勧めの一冊です。ですが、できることなら大学受験の日本史受験生に読んでもらいたいです。 なかなか想像しづらい歴史上の出来事を、この本を通じて立体的に知ることができ、受験知識に広がりができるのではないでしょうか。 こんな目的で本を読むと、今和尚からは「この馬鹿野郎!」と言われそうですが(汗)。
歴史に詳しくない人でも楽しめるとは思いますが、理解するためには前提知識が必要なので少々ハードルが高いかもしれません。
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